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旗を掲げよ The Banner Saga

  • 2012/04/06 (金) :
  • 雑記

神々は死んだ。太陽が凍りつき、故郷は灰となった。今日より我々は、倒れた者たちの魂のみに祈りを捧げる。生きて戦う者の団結を太陽とし、この旗の翻る場所を故郷と呼ぶ。子供たちよ、先を急ごう。今度の旅は長くなる。

そんな感じだと勝手に思っているThe Banner Saga。現在Kickstarterで注目(とお金)を集めているターン制ストラテジーRPGです。目標の10万ドルは即座に達成し、期日まで2週間を残した今は約40万ドル。

The Banner Saga  (Kickstarter)

ゲームプレイ部分ではファイナルファンタジータクティクス(Mount & BladeやKing of Dragon Passからの影響もあるとか)。物語としては『氷と炎の歌』を目指しているそうです。プレイヤーはThe Bannerのもと、一族郎党をひきつれて進むキャラバンのリーダー。戦いを繰り返して精鋭部隊を作り上げると同時に、合間の旅パートでは、キャラバンの行く末を決める難しい決断をくだしていきます。一族の方針に異を唱える者をどうするか。ある村を救うためにどの程度リスクを冒すのか。渋い大人向けのファンタジーにしたいとのこと。

banner_01.jpg
  • PC/MAC。他は完成した後で。
  • シングルだけでなくマルチもある。
  • 戦闘システムの出来には自信がある。夏ごろマルチ部分だけを無料公開する。
  • 設定はバイキングの文化、北欧神話を参考にしている。ただしアレンジを加えており、登場する神もオリジナル。
  • 3部作を予定している。1作目のデータを後に引き継いでいくかたち。
  • 1作目が2012年11月に完成予定。
  • 1作目=フルゲームの3分の1と誤解しないでほしい。少なくとも2時間足らずで終わるようなものではないし、物語としても完結させる。
  • $10で予約できるのは1作目のみ。
  • $50以上で3作すべて予約したのと同じ扱いに(FAQより)。
「ターン制インディーズRPG」と聞いて思い浮かべてしまう素人臭さは、トレイラーから微塵も感じられません。音楽、アート、アニメーションなど実に洗練されています。それもそのはずで、開発にあたるStoic Studioの3人は全員が元BioWareのベテラン。Star Wars: The Old Republicの開発でそれぞれ重要な役割を果たした彼らですが、完成と同時にBioWareを離れ、インディーズゲーム界に身を投じました。理由はThomas氏によると、長年他人のゲームを作ってきて本当に自分が望むゲームを作りたくなったから。

Alex Thomas: The Old Republicではコンセプトアートとムービー作成。
Arnie Jorgensen: 漫画家。The Old Republicのリードコンセプトアーティスト。
Jhon Watson: The Old Republicの戦闘部分のリードプログラマー。

The Banner Sagaはできるだけ多くの言語で発売したいとのことで、うれしいことに日本も無視されていません。「ヨーロッパはバイキングの人気が高く、日本にはターン制ゲームの愛好家が多い。できればそうした国々に向けてローカライズを行いたい」とあります。場合によっては、対応言語に日本語が含まれる可能性があるようです。ドイツ語などヨーロッパ圏が優先されるようですし、日本語版として別に発売されるケースもありうるでしょうし、なんともわかりませんが。



ためしにメールで日本語版の可能性その他を尋ねてみました。どうせ返事来ないだろうと思っていたんです。しかし来ました。それもThanks :)とかだけじゃない、ちゃんとした返信が。これはうれしかったです。あんな怪しいメールに返事を書いてくれたAlex Thomasさんは、確実にいい人だと思います。

banner_00.jpg

日本語版について。
「日本語版の需要がどのぐらいあるか、すでに調査を行った。ターン制ゲームの日本での人気が、アメリカよりもずっと高いことは把握している。日本語に翻訳して流通させる手段を模索中だ」。
アメリカよりずっと高いというのは、家庭用機や携帯ゲームでの話でしょうか。ゲームはパソコンでしかやらないもので、正しいかどうかよくわかりません。正しいといいんですが。またベータテストはもちろん行うけれど、backerを参加させる考えはないそうです。

だいそれたことに、日本のターン制ストラテジーファンにメッセージがあるかどうかも聞きました。答え。
"I think the main thing we'd like to say to Japanese fans of turn-based strategy games is that we have always been very inspired by the strategy games that originated in Japan. Since we were kids playing Shining Force and Fire Emblem we've always wanted to make something that felt like these games even though this is something that is uncommon for a western developer to do. We know there is an interesting difference between the preferences of western and eastern gamers and we hope that The Banner Saga will be something that appeals to both groups of gamers."
「私たちは日本発のストラテジーゲームから常に大きな刺激を受けてきました。子供の頃にシャイニングフォースやファイアーエムブレムを遊んだ者として、西洋では一般的でないとしても、ああいうプレイ感覚を持つゲームを作れたらと願ってきました。西洋と東洋のゲーマーに興味深い好みの違いがあることは理解しています。The Banner Sagaがどちらのグループにもアピールできるものになれば、と願っています」。

シャイニングフォースやファイアーエムブレムの名が出ているのは、単なるリップサービスではないようです。以前Thomas氏は、名作だと思うターン制ゲームに、X-comなどと並んでファイアーエムブレムやシャイニングフォースを挙げていました。また別のインタビューでは、ファイナルファンタジータクティクスにいかに熱中したかを説明しつつ、The Banner Sagaは欧米のターン制ゲームよりも、ファイナルファンタジータクティクスに似ていると。

同じものを作るつもりはないらしく、プレイヤーには数値の比較やレベル上げよりも、まず戦略を要求するそうです。具体的にはよくわかりませんが、「ターン制ファン向けのDotAを考えてくれ、でもヒーロー以外も操作できるけど」という発言がありました。やはりよくわかりませんが。ユニットのレベル上げ作業を延々繰り返すようなゲームは苦手なので、言葉通りにしてくれるとしたらうれしいです。



これは関係ない話。GoG.comで今日から48時間のあいだ、初代Falloutを無料入手できるそうです(日本では7日の深夜まで?)。Falloutについては、GAMELIFEさんが素晴らしいレビューを書いておられました。有志の方々による素晴らしい日本語化MODもあります。そして肝心の内容も素晴らしいわけですから、もう素晴らしい。
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Rainbow 6 の精神的な続編?

  • 2012/04/02 (月) :
  • 雑記
Kickstarterでまたひとつ、面白そうなゲームが資金集めに成功しました。

Takedown - Realistic Squad-Based Tactical Shooter


Sand Stormさんが以前紹介しておられた通り、Christian Allen氏のSerellanが、リアリティを重視した分隊ものFPSをつくるというプロジェクト。具体的には、CQB(建物内などでの接近戦)に特化し、Rainbow SixやSWATの精神的な続編を目指すとされています。

プレイヤーはPMC(民間軍事会社)の凄腕たちを指揮して、人質救出や暗殺などの任務にあたります。ミッション前には隊員の装備をカスタマイズでき、複数の侵入ルートが用意され、戦闘で倒れた部下はそれっきり復活しないとのこと。完成予定は2013年6月。Backerは限定アルファテストに招待されます。

以下はただの個人的な話です。このプロジェクト、成功すると思っていませんでした。
  • 最初の説明では、ハードコアタクティカルシューターという以外、どんなゲームをつくるつもりか不明だった。ミリタリーFPS自体は今でもたくさん作られていますし、Rainbow 6やGhost Reconシリーズの正式な続編も開発中なんだとか。なのでプランニングはさせるのか、射撃の難しさを再現するのにどんな新しいアイデアがあるか、跳弾や貫通をどうするか、AIは流れ弾にひるむのかなど、なにをもってハードコアと言うか、こだわりを感じさせる話が聞きたかったです。親子(?)で楽しそうに射撃練習しているビデオも、あまり魅力を感じませんでした。
  • Allen氏のキャリアを見ると、UBIではGhost Recon 2やGhost Recon Advanced Warfighter(GRAW)シリーズ、BungieではHalo Reachを手がけたそうです。ミリタリーFPSをハードコアな方向に導いた人物というより、むしろ逆の印象。
  • 今回のゲームはまずPC向けにつくり、その後家庭用機に移植する。PC版はFPS、家庭用版はTPSにするとの説明には、GRAWシリーズの中途半端な感じを思い出してしまいました。GRAW1,2はそれなりに楽しかったですが、また似たようなものができあがるとすれば興味が持てません。
  • 現代のFPSは20万ドルでは到底作れないだろうという問題。20万ドル集まった事実をもとにして、出資を迷っている投資家たちを説得するということでした。そうするしかないのでしょうが、でもbackerよりそちらの意見を優先することになってしまわないのかなと。
当初はKotakuにも、成功しないだろうなんて書かれていました。いらだったbackerから「ビデオがつまらない」、「タイトルの付け方が悪い」、「何をやりたいか明確に」などの改善案が寄せられ、それをふまえてすべてを変更。その後はKotakuも含めてあちこちに応援記事が掲載されたものの、終了数時間前になってやっと8割、9割という状態でしたから、こりゃもうだめだろうと確信しました。

ですがタイムリミットぎりぎりで一気に金額が伸び、結局は成功です。フォーラムによると、Notch氏がTwitterで取り上げたことと、先日Activisionを離れたRobert Bowling氏(CoDシリーズの人)が、ひとりで$7,500も出したのが大きかったようです。

要は興味があるくせに不安点ばかり並べ、金を出さない自分の決断を正当化しようとしていただけなんですが、今は後悔しています。懐が厳しいとはいっても、せめて$15ぐらい出しておけばよかった。限定アルファに参加したかった。失敗でした。
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Brian Fargo と Wasteland の25年

  • 2012/03/22 (木) :
  • 雑記
あちこちで伝えられていますが、Brian Fargo氏がWasteland 2をつくるための資金をKickstarterで集めています。すでに目標額を突破しているので、プロジェクトの成立は確実です。

Wasteland 2 - Kickstarter 公式サイト
  • 完成予定は2013年10月。
  • とりあえずPCに向けて作る。MAC、LinuxはPledge額次第(たぶんほぼ確定)。コンソール版はない。iOSは考えないでもないが、まったくの未定。
  • ダウンロード版を予約したいだけなら$15。箱で欲しいなら$50。半年後以降に予定されるSteamでのBetaテストに参加したいなら$75。
  • $50以上のRewardには現物が含まれるため、日本に送ってもらう場合、$15を足してPledgeする必要があるようです。$75のRewardが欲しいなら、$90をPledgeというように。
大成功に気を良くしたFargo氏は、KickStarter発のゲームが利益を生んだら、その5%を別のKickstarterプロジェクトに出資するという「Kick it Forward」運動を提案しています(「Pay it Forward」運動というのが、以前映画にもなりました)。

ですがそもそもWastelandっていったいなんなのか。Brian Fargoはそんなにすごいのか。記事風にまとめてみました。



1. Wasteland とは

wasteland_005.jpg wastland_006.jpg
Brian Fargo Wastelandの開発者たち

1980年代の後半、コンピュータRPGはまだ若く、テーブルトークRPGと密接に結びついていた。Wastelandはそんな時代の野心作のひとつだ。Interplayによって開発され、Electoronic Artsの手で1987年にApple II、翌年にCommodore 64とIBM PCで発売された。

Brian Fargoが高校の仲間達とInterplayを設立したのは1983年。Electoronic Artsの誕生は1982年。Wastelandを生んだ彼らもまた若かった。

Wastelandのデザインは、Brian Fargoのほか、T&Tの産みの親Ken St. Andre、小説家としてデビューする前のMichael A. Stackpoleら、わずか数人で行われた。プログラムを担当したのは、デザインにも参加しているEAのAlan Pavlish。


Ken St. Andreによれば、Wastelandは史上初めて核戦争後の世界を扱い、剣の代わりに現代銃を登場させたCRPGであった。舞台は、米ソの核戦争によって危険な荒野となった21世紀アメリカ南西部。RPGとしてのシステムは、デザイナー達がかつて制作したテーブルトークRPGを下敷きとしている(T&Tとその派生版、Mercenaries, Spies and Private Eyes)。

戦闘はターンベースで、最大7人までのパーティ制。ゲームスタート時に4人のDesert Rangerを作成するが、その後も出会った人間や怪物をリクルートできる。ささいな異変の調査から始まるストーリーは、ラスベガスの廃墟での冒険などを経て、巨大な陰謀に対する戦いへと発展していく。

途上で立ちはだかる障害には、多くの解決手段が用意されている。例えば門に鍵がかかっているとする。ここでプレイヤーは、開錠や登攀のスキルを使うこともできる。あるいはStrength値に頼ってぶち破るか。かなてこでこじあけるか。対戦車ロケットで吹き飛ばしてもかまわない。

独自の意思を持つパーティメンバー。プレイヤーが与えた変化が永久に残るPersistentな世界。WastelandはこれらをコンピュータRPGに持ち込んだ先駆者のひとつと言える。また現代RPGには見られない特徴として、プレイには印刷されたパラグラフブック(ゲームブック風の冊子)を使う。プレイヤーはゲーム中たびたび、冊子の特定のパラグラフを読むよう指示される。そこに書かれているのは、モニター上で説明されない会話や手がかりだ。こうした手法は、リソースが限られたなかで可能な限りコードをつめこむ工夫というだけでなく、コピープロテクションとしても機能したので、当時は一般的な手法であった。

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パラグラフ37を読め、と書かれている。付属するパラグラフブックを開き、37の項目を見ると……
"この部屋は、巨大なチェスボードを模しているかのようだ。君達が現れたのは、その下半分だ。低音の声が響き渡る。「命が惜しくば道を逸れるな」。暗い客席にひしめく観客たちは、嘲りのやじを飛ばし、君達が成功するかどうかを賭けている"(Wasteland Paragraphsより)


2. Wastelandの子どもたち


Wastelandは高い評価を受け、全プラットフォームを合計すると10万本を超える大ベストセラーとなった。続編を望む声はもちろん大きかった。

Wastelandの権利を有するEAは、80年代後半からパブリッシングだけでなく、社内でのゲーム開発も行っていた。彼らは続編をInterplay抜きでつくろうと考えた。そのゲーム、Fountain of Dreamsの開発メンバーに、オリジナルに関与した人間はひとりもいなかった。Wastelandのコードを書いたAlan Pavlishは、すでにEAからInterplayへと藉を移していた。

結局EAは、殊勝にも、Fountain of Dreamsを「Wastelandの続編」と宣伝することを諦め、無関係の作品として1990年に発売した。Fountain of DreamsはWastelandと多くの共通点を持っていたが、オリジナルより小規模で短いと評された。そして無数の凡作のなかに埋もれていった。

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EA版のWasteland 2、Fountain of Dreams。核戦争後のフロリダが舞台。

一方Brian FargoのInterplayも、独自に続編を計画していた。タイトルはMeantime。Wastelandのエンジン、RPGシステム、設定世界を使いながら、まったく別のストーリーを語るゲームだ。

Meantimeの開発はかなりの程度進み、最終的にはBeta版までこぎつけた。だが8ビットパソコン市場の崩壊によって開発の中止を余儀なくされ、その後DOSへの移植計画も頓挫する。Wastelandファンからリリースを切望されながらも、ついにMeantimeが陽の目を見ることはなかった。


3. Black IsleとFalloutの誕生


Wasteland以降、Interplayは小さなソフトハウスから巨大なデベロッパー/パブリッシャーへと成長していった。創設者Brian Fargoの指揮のもと、Interplayは多くの才能ある開発チームを発掘し、ヒット作を連発した。Apogeeが見放したParallaxのDescentを拾い上げて発売すると、完全3Dシューティングの草分けとして人気シリーズとなった。後に分裂したParallaxの半分は、VolitionとなってFreespaceを生んでいる。現代のゲーム業界に君臨するBlizzard(の前身)やBioWareの最初のタイトルは、どちらもInterplayのために作られた。そしてBioWare作品のなかでも特に評価の高いBaldur's Gateを1998年に発売したのは、InterplayのRPG部門、Black Isle Studiosである。

1996年、やがてBlack Isleを名乗る集団は、GURPSルールに基づくターン制RPG、Vault 13を開発していた。これは彼らにとって最初のプロジェクトであると同時に、Brian FargoにとってはWastelandの続編をつくる2度目の挑戦となった。Fargoは開発に直接関与こそしなかったものの、世界設定などには大きく口を出した。ゲームはVault 13からFalloutへと改名され、1997年に発売される。

Falloutシリーズの続編は今なお作られているが、Bethesdaの手に渡って以降の作品においてすら、その原点がどこにあるかを示すため、Wastelandからの引用やオマージュが散りばめられている。

Timothy CainがFallout開発にあたって掲げたビジョンの要約(原文)
1. 文字通り、とてつもなく暴力的につくる。
2. 最高の正解は用意せず、選択を悩ませる。
3. たくさんの解決法を用意する。
4. 行動すればそれによって世界が変化し、リアクションが返ってくる。
5. タイムリミットでプレイヤーを急かせる。
6. 可能な限りオープンエンドにする。
7. プレイヤーにはっきりとした目標を持たせる。
8. 「なぜ○○はできないのか」とプレイヤーに言わせない。
9. インターフェースをつくりこむ。
10. ダイアログを、選んだ対応と能力値によって変化させる。
11. 無数の武器(と異なる攻撃アニメーションと装備グラフィック)。
12. 詳細なキャラ作成システム。
13. GURPSルールのいいところは活かすが、楽しいRPGをつくるのが優先。
14. もっとも大事なのは、我々がこれを作りたいこと。

Fallout開発を指揮したTimothy Cainは、Fallout2の完成を待たず、1998年にInterplayを去っている(そしてTroika Gamesを設立した)。

残されたメンバーがBlack Isle Studiosとなった。彼らはその後2003年までのあいだ、Planescape TormentやBaldur's Gate 2などの傑作RPGを世に出していく。しかしBlack Isleがよって立つInterplayは、90年代の終わりからすでに傾き始めていた。


4. Interplayを後にして

1998年、多額の資金を調達する必要に迫られたInterplayは、社名をInterplay ProductionsからInterplay Entertainmentへと変更し、新規株式公開を行った。しかしその後、急速に業績が悪化する。家庭用機市場への進出で大きく出遅れたことに加え、期待をかけていたPCタイトルの売上げが伸び悩み(Freespace 2など)、スポーツ部門の不振が追い討ちをかけた。

後にインタビューで反省点を聞かれたFargoは、「家庭用機への移行をもっと早めるべきだった。PCでの成功の上にあぐらをかきすぎた。追い求めるべき利益はPCから家庭用機へ、徐々にではなく瞬間移動してしまった」と答えている。

結果として、Interplayの経営権はTitus Interactiveに握られていった。TitusはCaen兄弟が1985年に設立したフランスのパブリッシャーである。

Fargoは、Titusから乗り込んできたHerve Caenと対立を繰り返した。Titusの方針は、Interplayをスリム化し家庭用機市場に全勢力を傾けることだったが、Fargoはそれを望まなかった。主導権争いが続くなかで業績はますます悪化。さらにはNeverwinter Nightsのキャンセルとともに、BioWareとのいさかいが始まった。Interplayが2000年に発売したのは32タイトル、しかし2001年はわずか10タイトルのリリースにとどまっている。

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フランスからやってきた悪役、Herve Caen。
「Interplayのつくるゲームは素晴らしい。だが素晴らしいゲームをつくるだけじゃ不十分だ。結局これは、ただのゲーム作りじゃなくビジネスなのさ。ゲームを作ると同時に、株主を満足させて初めて存続できる。ゲームを作り続けたって、それが元で潰れちまったらしょうがない。そうだろ?」
「最近ゲームを遊んでるかって? 遊んでいる、と答えたら嘘になるな 」
(2002年のインタビューより)

自ら20年弱をかけて育て上げた巨大企業は、いつのまにかFargoの望む職場ではなくなっていた。Interplayを売却する試みも失敗に終わり、2002年1月、ついにFargoは辞職を決めた。代わってHerve CaenがCEOとなった。

Titusの側にも言い分はあったかもしれないが、とにかくFargoにすれば、古巣から「追放された」気分だった。E3に出席する際、彼は"in exile"という社名をでっちあげ、名刺の肩書きには"Leader in exile"と刷り込んだ。こうして立ち上げる新スタジオの名前が決まった。FargoはinXileにおいて、同じくInterplayを去った仲間とともに再起を目指すこととなった。もっともinXileがターゲットとしたのは、Fargoが得意とするPCゲームではなく、主にカジュアルゲーム市場や家庭用機だったが。

この頃、Wastelandの権利はEAからKonamiの手に渡っていた。KonamiはWastelandの名前を遊戯王のキャラクター名に使いたいと考えていたが、Fargoが交渉を持ちかけるとそれに応じた。2003年、断末魔のInterplayがBlack Isleの閉鎖を決めたのと同じ年、FargoはついにWastelandの権利を獲得する。

「Wastelandの精神的な続編」とされるFalloutの成功を経てもなお、彼には自ら続編を作りたいとの想いがあった。ひょっとしたらInterplayが彼の手を離れたとき、Falloutも「自分の作品」ではなくなったのかもしれない。3度目の挑戦は数年の間続いた。2007年頃には制作に向けて、ある程度具体的な動きが見られた。しかし結局のところ、古めかしいRPGに大金を出すパブリッシャーはみつからずじまいだった。Fargoは続編の計画を諦めた。


5. By Gamers, For Gamers

2012年。FargoがInterplayを離れてから10年が経った。CRPGはテーブルトークRPGから完全に親離れした。ゲームの開発費は天文学的な数字にふくれあがり、大手の発売するPC専用タイトルは激減した。その穴を埋めるかのように、少人数・低予算で作られるインディーズゲームが脚光を浴びるようになった。

Fargoと対立したTitusは、今はもう存在しない。Titusの倒産は、Fargoの退職からわずか3年後のことだった。一方でInterplayは、Herve Caenのなりふりかまわぬ努力の結果、Falloutシリーズの権利をすべてBethesdaに売り渡すことで危機的状況から持ち直した。Troika Gamesは何本かの秀作を遺し、惜しまれながらも姿を消した。Herve CaenがInterplayから追い出したBlack Isleは、Obsidianとなって生き延びた。彼らはBethesdaのもとで、Fallout最新作New Vegasの開発にあたっている。

その間にInExileが残してきた業績は、ややこじんまりとしたものだ。まず、Wastelandと並んでFargoの功績とされるBard's Taleシリーズの新作を手がけ、そこそこの評価を得た(オリジナルファンを満足させられたわけではなかったが)。Codemasterから依頼を受けた犯罪アクション、Heistは開発途中でキャンセルされた。最近ではChoplifterをリメイクしたほか、BethesdaのためにファンタジーアクションゲームHunted: The Demon Forgeを作っている(Huntedの評価はあまり芳しくない)。

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50歳を迎えた今年、Brian Fargoは4度目の挑戦を始めた。道を示したのはファンからの声だという。Tim Schaferがわずか24時間で1億円をかき集めたというKickstarterに、彼は再び望みをかけることにした。恩人の計画を聞いて、Fargoが最初のチャンスを与えたBlizzardの大物や、Fargoに才能を見出されながら袂をわかったBioWareのCEOが応援メッセージを寄せた。

「みなさん、これがWastelandの続編をつくる、おそらく最後のチャンスです」。Fargoは紹介文にこう書いた。「何度もパブリッシャーにかけあいましたが、彼らは躊躇するばかりでした。本格派オールドスクールRPGを求める層などいない。そう彼らは思っています。それが間違いであることを示したい。そしてもっと大事なのは、プロジェクトの成功がRPGというジャンルそのものの復権を助けられるかもしれないことです。インディーズシーンは依然活況を呈しており、私はこのプロジェクトをデベロッパーの手に権限を戻す大きな流れの一部だと考えています」。

結果はプロジェクトのページで確認できる。90万ドルはKickstarterにおいて破格に高額な目標だ。しかしそれを超えるのに要したのはたった1日半だった。あるBackerは、昔Wastelandの海賊版を遊んでしまったと懺悔しながら1万ドルを寄付した。20年前、Fargoの近所に暮らしていた別のBackerは、少年だった彼にゲームについて真剣に語ってくれた思い出への感謝を示すため、支援を決めた。反響は反響を呼んで、出資額は今も増え続けている。

Brian Fargoは再びWastelandを作ることになった。25年前と同じように。自分と仲間と、ファンだけのために。



すごい知ったかぶりにおつきあいいただき、ありがとうございました。Wastelandをプレイしたことはありません。以上はすべて、Wikipediaやインタビューの情報をまとめようとしたら、どんどん調子にのり、その後感傷的になった代物です。ソースごとに情報が食い違っているところは、なんとなく正しそうな方を採用しました。間違いあったら教えてください。

Wasteland - Wikipedia
Wsteland Wiki
Fallout Wiki

2002年 Brian Fargo インタビュー - Gamespot
2002年 Herve Caen インタビュー - Gamespy
知られざる名作RPG「Fallout」ができるまで - 4Gamer
Wastelandについて語るKen St. Andre

パラグラフブックを使ったCRPGが存在したことなんか、初めて知りました。一人用ボードゲームだとそういう形式のものがあったそうですが(『アンブッシュ』とか)。

文中でT&Tとあるのは、Tunnels and TrollsというテーブルトークRPG(TRPG)の略です。アメリカでの刊行は1975年だそうですけれど、日本にやってきたのはずっとずっと後になってからのことです。名前のとおりD&Dのパロディを狙った、わりと馬鹿馬鹿しいファンタジーRPG。古本屋で安く買えたのと、ソロアドベンチャーが充実していたので寂しい子どもにはありがたく、結構遊んでいました。確かCRPGとしても発売されたはず。

T&TのデザイナーKen St. Andreと、ソロアドベンチャーの作者だったMichael A. Stackpoleが、Falloutシリーズのルーツを作っていたというのもびっくりです。Stackpoleは今回のプロジェクトへの参加が決定しています。Ken St. Andreの方は今のところTwitter上で触れるにとどまり、残念ながら態度を明確にはしていないようです。

それとGURPSも同じくTRPGのルールです。
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Faster Than Light のデモが遊べる

  • 2012/02/28 (火) :
  • 雑記
03/22 Onliveでのデモ公開は終了しました。またBetaの開始予定は3月〜ではなく、5月〜の間違い。
03/03 上から下までさんのプレイリポートをお読みになれば、FTLの内容が一発でわかります。
02/29
 変な文章を修正



Faster Than Lightのアルファデモが、OnLiveのみで公開されました。

「モニター、キーボード、インターネット接続。その3つさえあれば、いかなるPCでも最新ゲームをなめらかに遊べる」という詐欺のような話を、クラウド云々、ストリーミング云々で実現してしまったのがOnLive。無料の会員登録を済ませたら、タイトルごとに数日もしくは永久に遊ぶ権利を買っていく仕組みです。

OnLiveについて詳しくは: KotakuJapan GameWatch FPS Unknown

現在日本はOnliveのサービス対象に入っておらず、ゲームの購入はできません。またキー入力を送って映像が返ってくるまでのタイムラグははっきり体感できるほど。瞬間的操作の必要なゲームはちょっとプレイに耐えないでしょう。でも1ゲーム30分までのフリートライアルを使って感触を知るという使い方なら、今の時点ですでに便利なサービスだと思います。なにしろタダです。デモが出ていないゲームはもちろん、出ているゲームでも、冒頭部分をプレイするとデモとは違う印象を受けたりします。カタログには超大作にまじってインディーズゲームも多少あり。

デモを遊ぶには: OnLiveに会員登録、クライアントをインストールしたら、Marketplace -> Genre -> Indie を開いてください。FTLを探してFree Trialをクリック。



今回のデモでは、チュートリアルとふたつのセクターを30分間遊べます。以前公式サイトで限られた人だけに配布されていたのと同じものだと思います。だいたいPC Gamerのプレビュー通りの内容でした。機密情報を抱えて単艦、敵宙域をさまよう連邦宇宙船Kestrel号は、はたして反乱軍艦隊の追撃を逃れられるのか、というのがデモの設定。こんな感じで進みます。

1. セクターマップでジャンプ先を選ぶ
2. イベント発生。戦闘が起きたらエネルギーの配分を考えたり、クルーを修理に走らせたり
3. イベントの結果、燃料や武器、Scrapが得られる。
4. Scrapは艦のアップグレードや買い物に使う
5. 修理を終えたらジャンプ。1へ戻る

ftl_00.jpg

魅力ある小品という印象です。システムはかなりシンプル。1回のプレイはごく短時間で終了。毎回内容の異なるゲームを繰り返し遊び、まずはゴールまでの生存を、ゆくゆくはハイスコアを狙う作りのようです。Strange Adventures in Infinite Spaceや、それに影響を受けたと思われるFlotiliaと少し近い気がしました。複雑でないと言っても、戦闘とその後の修理には他ゲームで味わったことのない萌えを感じます。イベント内容が充実してくればとても面白そう。



デモ公開と同時に、KickStarterでの資金集めも始まっています。KickStarterの仕組みについては、StarDriveのときに書いたのでそちらをご覧ください。30日間で1万ドルとの設定ですが、スタート初日に$9000を突破しています。このエントリーを書き終えるより、目標額達成の方が早いんじゃないかぐらいの勢い。そして今更新したら本当に達成していました。

Faster Than Light - Kickstarter

$10〜: 予約
$25〜: +限定ベータ参加権
$40〜: +アートブック、サントラ、あなたをクレジット
$100〜: +ポスター、あなたの名前のクルーが登場
$500〜: +イベントをひとつ作ってよい
$1000〜: +Kestrel号のペン画を額に入れて差し上げます(すでに売り切れ)
  • Win/MAC/Linux向けに発売。SteamやDesuraなどに置いてもらうことを考えている。
  • OnLive以外でもいずれデモを公開するかもしれない。
  • デモは最終版のごく一部であり、乗れる船はもっと多いし、好きな船名も付けられる。クルーもカスタマイズできる。
  • マルチはない。
  • 限定ベータ(Windowsのみ)は5月、完成は8月を予定。
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Jagged Alliance: BiA の Mod紹介

  • 2012/02/25 (土) :
  • Jagged Alliance
発売前、modのサポートに対して気乗りしない風に見えたbitComposerは、公式フォーラムにModdingセクションを設けるなど、ある程度方針を変えたようです。

今のところBiAはどの程度いじれるのか。武器やキャラクターの能力、敵・アイテムの配置などは単純にテキストファイルから読むようになっており、変更はいたく簡単でした。バランス調整の苦労は別として。データの追加も、制約はあるにしろ可能なようです(Blue Dawnでは新武器が登場します)。ただそれ以上のこととなると、方法が見つかっていない状態だと思います。いじれそうでいじれない数値もたくさん。アーマーの値段や防御力を変えるのは簡単でも耐久値を増やすことはできない、といったように。

mod作りのヘルプ
.pak .ctxファイルのパック/アンパック
.pak.cryptファイルの解凍ツール (うちでは動作せず)

Modのインストール: "..\Steam\SteamApps\common\jabia\bin_win32"へファイルを放り込む。傭兵への変更を反映させるには新規ゲームが必要なようですが、それ以外のmodはプレイ途中でも導入可能とされています。

Modを入れるときの注意点: "\jabia\bin_win32\configs"フォルダに改変した設定ファイルを置いてプレイすると、起動時バージョンナンバーの後に[modified]の文字が表示されます。この状態でセーブしたデータには、消えない印がつけられてしまうようです。[modified]状態では一部実績が取得できない、とFPS Unknownさんが書いておられます。X3のような感じでしょうか。ただ一切の変更を許さないというほど厳密ではなく、例えば下のReal Weapon Names modを使っていてもmodifiedとはみなされません。



Real Weapon Names / UI Fixes
武器の名前を実在のものに、妙なスペルミス(Thoughとか)も修正してくれるありがたいmod。今はこれだけ入れてプレイしています。セーブデータはmodifiedになりません。

Blue Dawn (旧R@S mod)
7.62 High CalibreのBlue Sun modで有名なR@S(Ras)氏が、新たにBiAでチームを組み制作中のmod。新装備の追加とバランス調整。全体に射程とダメージがアップするほか、格闘専門の敵を削除、militiaが始めからアーマーを装備、武器の入手がよりRPG的に(強い武器は通販で買えなくなる)などの修正も。

v0.1を試した時にはAIが伸びた射程に対応できていない気がしましたが、v0.2で修正されているそうです。現在一番modらしいmodかもしれません。武器データの調整を担当しているWilsonMG氏は、イラク戦争に機関銃手として長期従軍した元本職だそうです。

Firearms Rebalanced Experiment
Blue Dawn の上にインストールする非公式アドオン。Blue Dawn v0.1をベースとして、本家とはまた違ったバランスを目指しています。かなり遠くから戦闘が始まるようになるところは同じ。現在はBlue Dawn v0.2への対応作業中。

Fight an army , no hillbillies with axes
難易度を強烈に上昇させることにこだわったmod。最初の空港ミッションからいきなりえらいことになります。ちょっとやりすぎな感じも。Blue Dawnと競合。

Institute for Mercenary Profiling
BiAでIMPがなくなった(オリジナルの傭兵を作れなくなった)ことは個人的に不満のひとつなんですが、それを外部exeで解決しようというプロジェクト。BiAに登場する傭兵からひとりを選び、名前や背景、能力値、Traitsを自由に編集できます。バランスを極端に崩さないよう、配分できる能力ポイントやTraits数は決まっています。Blue Dawnと競合。

Alternative M.E.R.C.S
最終的にBiA製品版からカットされたJA2の傭兵9人を追加。ただし、既存の傭兵と入れ替える形になりますし、台詞はテキスト・音声ともありません。

Input Reconfig Mod
マウスミドルボタンでカメラの回転ができる、カメラを完全に水平に傾けられる、など。iniの編集で挙動をカスタマイズ可能。私のPCではまずゲームを起動してからJABIA_InputReconfig.exeを実行しないとダメでした。

Better Sound in Action
サウンドパック。



詳しくはリリース済みmodのリストをご覧ください。難易度や武器性能をいじるものは、たくさん出ていてよくわからないのでほとんど省きました。
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