地球には帰りません

パソコンでゲーム、たまに映画

Battle Brothers が面白い

  • 2015/05/14 (木) :
  • 雑記
たいへんお久しぶりです。お元気でしょうか。

この1年半ほどは、地球のNPCの問いかけにすべて「Yes」で答えていたところ、クエスト一覧が30ページぐらいになって難儀していました。はやく人としてのアーリーアクセスを脱したいです。

誰もご覧になってないのではという懸念はさておき、気になるゲームが出たので記事を書きました。



これです。Battle Brothers。4月にSteamでアーリーアクセスを始めたばかり。複雑で独創的なゲームがつくりたいと息ごむドイツのOverhype Studiosの第一作目。

傭兵団を自称する最大12名のごろつきが、Mount&Bladeのように地図上を放浪。敵グループと出会ったらXcomやタクティクスオウガのようにターン制戦闘を戦い、死体から装備を剥ぎ取っては近隣の村で売りさばく。やや野蛮なゲームです。

放浪パートは面白くなりそうな予感こそあれ作りかけです。まだクエストの種類が少なく、イベントやストーリー、終わりさえもありません。自動生成されるマップ上では、各勢力がきちんとリソースを消費して偵察部隊を「生産」していたり、山賊が街道を往くキャラバンを追い回していたり。プレイヤーの介入なしでも勝手に動く世界を実現したいのでしょう。村ごとに物価が大きく違うので、そのうち交易も可能になるのかもしれません。

bb_02.jpg

気に入ったのは、核となる戦闘パートです。

これまでファンタジーテーマのターン制ゲームはいろいろ試してきたのですが、なにか物足りなさを覚えてきました。具体的には、全体の完成度や難易度とはまったく別の話で、戦闘ルールが抽象化されすぎていたり、魔法合戦が主だったり、再現したいものがヒーローの超人性や特定の古いCRPGのプレイ感覚だったり、ひどいものだとDiabloやWarcraftを工夫もなくターン制に移し変えただけだったり。要はルールのみでは生身の人間が剣と盾を持ってぶつかりあう情景が見えてこない、見せる気もないというか。銃撃戦ものではX-comやJaggedAllianceシリーズ、もっと踏み込んでロシアの7.62系のように、現実的な武器の運用やそれらしい状況の再現にこだわった作品が数出ているのですが、そのファンタジー版が欲しかったのです。

Battle Brothersも、へクス(6角マス)の採用は少数派と思いますが、ヘルスがなくなると死ぬ、素早い者から行動するイニシアティブ制など基本は普通です。

ただ、装備ごとに専用アクションがあることで特徴をつよく感じられ、使い分けの面白さがあるのがまずよい点と思います。高所から撃ち下ろすと強力な弓ですが、盾持ちには効果が薄く、その盾をかち割れるのが戦斧で、鎧はウォーハンマーで叩き潰します。 大剣は範囲攻撃を、槍は敵の接近の阻止を得意とします。使った武器や鎧は行軍中に修理しないと壊れてしまいますが、その時間や物資がないことも多く、いつもボロボロの装備で戦う羽目になるのも傭兵部隊らしくていい感じです。

乱戦では、ZOC(周囲1マスの移動阻止ゾーン)と突き飛ばし/引き寄せ能力を使って局所的優位をつくりだすパズル性があるため、単純な殴り合いとはなりません。あらゆる行為はユニットを疲労させますから、Chivarly並にスタミナに気を配る必要があって、重い鎧をあえて着ない選択も大きな意味を持ちます。モラルの処理も自然で、仲間が倒れたときばかりでなく、一太刀浴びるごとに兵士のやる気がなくなり、戦闘力が落ちていきます。

オークやスケルトンが登場するファンタジー世界ですが、魔法はすでに失われ、エンチャントアイテムにわずかな痕跡を残すのみ。ゲーム・オブ・スローンズのバランスでしょうか。誰もにDarkest Dungeonのような固有の「癖」と、傭兵になるまでの背景がランダムに与えられ、死んだらそれまで。蘇生手段はおろか、戦闘中の回復手段すらありません。金のために集まった元農夫や石工や追放騎士が、戦のたび腕を上げ、思いもよらぬ活躍を見せ、土壇場で怖気づき、そして突然命を落とします。個人的にDarkest Dungeonに期待して得られなかったものが、これにはあります。

現時点では若干単調だったり、スキルツリーによる成長の幅がそれほどなかったり、難点もあるのですが、とにかく基礎となるルールシステムのまとめ方がしっくりきました。戦闘部分のみのデモが公開されているのでぜひお試しください。ふるいバージョンですが基本はそんなに変わっていません。

以下は余談です。
  • むさくるしい男ばかりなのは何かの主義によるものではなく、女傭兵も追加予定だそうです。bb_03.jpg
  • Permadeathとはいえ、セーブ&ロードは戦闘中以外いつでもできます。
  • 馬は実装するかどうかも含め検討中とか。
  • 向きの概念がないのはあえてだそうです。実際には向きなんて一瞬で変えられるはずなのに、背中を見せた状態で行動を終えると敵のターン中ずっと不利になる、それは変という理屈。たしかにそうかもしれません。そのかわり、ひとりを複数で攻撃すると命中しやすくなるOverwhelmedボーナスがあります。
  • いまのところ更新は頻繁に行われています。

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ターン制ゲームあれこれ

  • 2013/09/08 (日) :
  • 雑記
Card Hunterが9月12日より正式サービスを始めるそうです。ブラウザで無料で遊べるトレーディングカードゲームで、Magic the GatheringをデザインしたRichard Garfield氏と、Irrational GamesやLooking Glassの元社員らがつくっているとか。Nomeu.netさんがベータの印象を書いておられました。

Card Hunterがユニークだと思ったところ。まず、マスターがクリーチャーを召還して戦うMTG方式ではありません。

3クラス&3種族から3人のパーティをつくり、TRPGのフロアタイルを模したボードで怪物と戦います。「移動」「攻撃」「スペル」など、キャラクターの行動ひとつひとつがカード1枚。カードゲームというより特殊なパーティ制RPGのようで、基本無料系としてはたぶん珍しくAI相手のシングルプレイにも力が入っています。

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1キャラクター=1デッキ
どのアイテムを装備するかで取れるアクションが決まる

キャラクターには武器や鎧などの装備スロットが複数あり、レベルが上がるたびアンロックされていきます。こうしたスロットに装備するアイテムはそれぞれ何枚かのカードを持っています。装備分をすべて足したものが各キャラクターごとの「デッキ」となります。

たとえば武器「肉切り包丁」なら、斬り属性の複数攻撃4枚と打撃属性の弱攻撃2枚がデッキに加わります。魔法の杖ならスペル、盾や鎧であれば防御に使えるカード、ブーツなら移動カード。質の高い、あるいは魔力が込められたアイテムほど強力なカードを持ちますが、なかには引いた瞬間に強制使用される悪いカードも混じります。パラメータにはほとんど頼らず、カードだけでファンタジーRPGの戦闘の諸要素を表現しています。

cardh_03.jpg
かなりの数あるステージは、それぞれ怪物の使う特殊カードや
マップ構造に変化が付けられています

戦闘では、敵も含めすべてのキャラクターに、各々のデッキから4枚ずつカードが配られます。1ターンで使えるカードは生きているキャラクターのどれか1枚。双方がパスするまで交互にターンを回したら1ラウンド終了、再びカードが配られます。先に決められたスコアに達した側の勝利で、スコアは敵殺害のほか特定マスを占拠するなどでも獲得できます。

移動カードや障害物、ZOCを使ってダメージを逃れつつ、移動を終えて逃げられない敵に切り札をぶつけていくのがおそらく基本。ブロック系カードで攻撃を無効化してくる敵には、弱攻撃でカードを無駄に使わせたり、背後に回り込んでの攻撃が有効です。鎧カードは手札にある限り何度でも被ダメージを減らしてくれるものの、次ラウンドへ持ち越せるカードは2枚まで、手札は最大5枚。守りにこだわれば攻撃の幅が狭まります。

よくできてるなあと。毎ラウンド変化する状況に対応する必要がありながら理不尽さがないというのは、カードを使うからこそではないでしょうか。それと「攻撃」カードを使って殴り「パリィ」カードで弾く戦いは、なんというかアクションの手応えが感じられて楽しいです。

パーティ同士の決闘となるマルチプレイでも、このシステムは機能しているように見えます。マルチで使えるパーティはGuild Warsなどのように最初からいきなり最高レベル(スロット全開放)。ただし装備(=デッキ)面では投資した時間・お金で差が出てきます。

あくまで”collectible card game with some twists”で、実力と運だけでやっていけるようにはできてないはず。シングルにしろマルチにしろ地道に勝利を重ねアイテムを集めるか、あるいはクレジットカー ドで宝箱を購入するなどしてパーティを強化していく必要があります(5月ごろはマルチロビーにいる弱いBOT相手にリワードアイテムを稼ぎまくる技が使えたのですが、もう対策されているかも)。

基本無料ゲームでは必ず問題となる「Pay2Win(出した額で強さが絶対的に決まる)かどうか」ですが、現金を使うほど強いアイテムを得られるチャンスが高まります。希少アイテムを確実に得られる有料クエストなどもあるので、強くなるスピードは露骨に違うでしょう。ただ無料プレイヤーでも運か時間さえあれば同じ到達点にたどりつける、とのことです。少なくともベータ期間中遊んでいて、Pay2Winだと思ったことはありません。

cardh_02.jpg
各地のダンジョンで連戦をこなすシングル。
架空のTRPG「Card Hunter」の公式シナリオを次々クリアしていく

最後に、TRPG経験者への目配せが多いのも特徴です。シングルは「友達がマスタリングするTRPGセッションを遊ぶ」という体裁。ときにはTRPG上級者を自称する友達の兄が「弟よ、お前のマスタリングは基本がなってない」などと口出ししてきたり。会話そっちのけで戦闘だけ延々続くのも、子どもがやるTRPGっぽいとは言えるかも。というより自分が子供のころやっていたTRPGはいつもそうでした。事前に筋やNPCの台詞をいろいろ考えていくのですが、実際友達の前に出ると気恥ずかしくなってしまって。

Card Hunterの正式サービス開始を数日後に控えてほとんどまったく意味ないですが、ベータの招待キーをもらっていたことに今さら気づきました。興味ある方はここに打ちこんで登録してみてください。どのコードが使われたか知る術がないので、12日までこのままにしておきます。

FQKQ-YYGD-QHGJ
ZJBW-SPKT-XWGS
TCRK-JNKM-ZQBV


※11日はメンテで12日に最後のリセットが行なわれます。その際、ベータ期間中に購入したPizza(現金で買うポイント)はもちろん残るそうです。チュートリアルの一環でもらえるPizzaについてはわかりませんが、おそらく消えるでしょう。消えなかった場合、ベータからのプレイヤーはPizzaを2度取りできることになります。 やはり消えました。




Space Hulkを買おうかどうか迷っています。開発はJagged Allianceの続編をつくるFull Control。レビューによると良くも悪くもオリジナルそのままらしいですね。

元のボードゲーム版は未プレイですが、EAがかつてSpace Hulkのタイトルで出していた2作と、有志によるボードゲームのPC移植版をいくつか触ったので、ぼんやりとは知っているつもりです。WarHammer40000というSF世界で、『エイリアン2』の宇宙海兵隊VSエイリアンをやるゲーム? 暗い宇宙船内で四方八方から押し寄せるエイリアンにひとり、またひとりという感じです。ルール的にはX-comと多少近いものの、狭い通路ばかりで効果的な連携が難しく、戦闘スーツの鈍重さがしつこく強調されているのと、運要素がさらに強いあたりが違いでしょうか。

EAによる2作は分隊FPSだったので置いておくとして、PC移植計画のなかで傑出していると思ったのがAlien Assaultです。シングルプレイ専用。難易度の高いシナリオが相当数用意されています。権利の都合から固有名詞こそ変えてありますが、ボードゲームのルールにはわりと忠実と聞きました。それだけでなくオリジナルにはない(?)ユニットの成長ルールなどもオプションから追加できます。

フリーゲームとしてはかなりの出来。今回のSpace Hulk発売で公開中止になるのではと危惧していましたが、今現在も落とせました。おなじところが公開しているLeft2Dieも楽しかったです(Space Hulkを見下ろしシューティングにしたもの)。

alienass_01.jpg
PC上でSpace Hulkを遊べるフリーゲームのひとつ、Alien Assault

本当はAlien Assaultを紹介したかっただけ、というのがあからさまですが。しかし最近発売されたSpace Hulkにはプラットフォームの垣根なくマルチを遊べる大きな長所があります。Frozen Synapseのような非同期対戦も可能だそうで、どんな感じか興味あります。セールで安くなったら買おうかなと。



最後に、Sid Meier's Ace Patrolというゲームを買いました。元はiOSアプリだったのを、追加コンテンツなどまとめてPCに移植したもの。

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英米独仏から国を選び、4人の飛行隊を指揮して
1916~1918年まで戦い抜く

iOS向けらしい小粒なゲームです。でもキャンペーンをクリアしてみて気に入りました。フライトシムはそんなにやりませんが、Red Baron 3DやRise of Flight、First Eagles、Over Flanders Fieldsなど第1次大戦ものは比較的好きです。正確には、それらについているダイナミックキャンペーンが好きです。

戦闘機の性能と同時にそれを飛ばすパイロットのドラマを、さらに彼を取り巻く戦場世界の変化をシミュレートしようというRPGにも近いモード。仲間の死を嘆いたり、勲章をもらったり、新型機に乗り換えたりしつつ終戦まで生き延びる、自軍を勝利に導く、もしくは史実上のエースに近づいていきます。ダイナミックキャンペーンというとFalcon4.0が有名ですが、あれとはちょっと違ってSilent Hunter 3の飛行機版といった方が近いでしょうか。

Ace Patrolはそうした第1次大戦フライトシムのダイナミックキャンペーンをボードゲーム風に再現しています。実際ボードゲームには「ひとりで遊べる飛行隊もの」という超マイナージャンルがあったはずで、そのPC版とも言えそう。

Sid Meierがデザインにどのぐらい関わっているのかよくわかりませんが、えらくシンプルなシステムながらツボはおさえてあると感じました。高度を犠牲に速度を得ての一撃離脱、緊急回避。敵の背後につくための格闘戦。さらに雲、対空砲火、敵のエース、偵察機や爆撃機の後方機銃、飛行船や観測気球への攻撃、飛行隊の管理、機体の乗り換えなどなど。敵領内で撃墜されたパイロットは捕虜になり、クリスマスの捕虜交換まで帰ってこないなんてルールもあります。

acepat_01.jpg
パイロットは戦果をあげることで特殊な機動を覚えていきます。
左旋回した次のターンは右旋回できない、ヘッドオンで撃ってもダメージが低いなど、
やる前に想像していたよりもそれらしい空戦でした

ひとつのミッションを遊ぶのにかかるのは10分程度。毎回3つの候補から次のミッションを選び、6ミッションこなした後の合計スコアで戦域での勝敗が決します。4戦域、全24ミッションを戦えばキャンペーン終了。結末がさらっと説明されて終わりです。ストアページには総ミッション数180と書かれているので、キャンペーンを始めるたびにそこからランダムで割り当てられる感じでしょうか。難易度は5段階。すべての国で最高難度での勝利を目指す、リーダーボードで他プレイヤーとスコアを競うなど、しばらくは遊べそうです。

カラフルな旧式戦闘機が誰も死なない戦争をスポーツのように戦うゲームで、深刻さはさっぱりありません。史実を無視して女性パイロットも多数登場します。すべてにおいてどこか物足りないけれど魅力はある点など、Sid Meier's Pirates!とも近い気がしました。

ネット対戦ができたら楽しそうなのに、ホットシート対戦しか対応してないのが残念です(しかもミッションが選べなかったり杜撰なつくり)。ほかにも拡充してほしいところだらけですが、その点でもPirates!と同様、このままほったらかしの予感がします。
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Realms of Arkania: Blade of Destiny HD を買ってしまった

  • 2013/08/16 (金) :
  • 雑記
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え、もうお客さん来たの?

Shadowrun Returnsの記事で悪口を書きましたが、Realms of Arkania: Blade of Destiny は同名のドイツ製RPGのリメイクです。1992年に発売されたオリジナルは、つづくStar Trail(1994)、最終作となったRealms of Arkania III: Shadows over Riva(1996)とあわせてThe Northlands Trilogyと称され、3本セットがRealms of Arkania: Trilogyとして売られていました。

このTrilogyをeBayで新品未開封、おまけに安く入手できたときの私の喜びは相当でしたが、「いつか本気でやる」と死蔵している間にあっさりGoGで買えるようになり、今では精神的負債のひとつになっています。

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ドイツの有名TRPG「The Dark Eye」をはじめてPCゲーム化したBlade of Destiny。

どんなゲームだったか。自作6人パーティでワールドマップを移動、町やダンジョンは主観視点で探索し、戦闘が発生すると碁盤マップ上へ移行するファンタジーRPG。つくったのはドイツのAttic、それを北米向けに翻訳販売したのがSir-Tech(余談ですが、ゲーム世界の名はAventuriaですから本来タイトルはRealms of Aventuriaとなるべきところ、響きが悪いということでSir-TechがArkaniaに改名したそうです。リメイクではゲーム内の呼称のみAventuriaに戻されています。またAtticで開発を率いたGuido Henkel氏はその後アメリカへ移住してPlanescape TormentやFallout 2にも関わり、現在はKickstarterでのThorvallaの失敗後、DeathfireなるRPGを開発中)。

背景世界とルールシステムはドイツ製のテーブルトークRPG、「The Dark Eye」をベースとしており、これは同じくドイツ製のCRPG、Drakensangシリーズとも共通します。ただ両シリーズは元にしているルールブックの版と、同じAventuria大陸でも舞台とする地方が異なります。また一本道を進むDrakensangに対してRealms of Arkaniaの進行はプレイヤー任せで、飢えや防寒対策、睡眠時間を気にする必要があるなど違いは多々。

オーストリアのCrafty StudiosがBlade of Destinyを忠実にリメイクすると聞き、今度こそ本気で取り組もうと予約しました。で、いざ触ってみると。

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オープニングムービーが終わった後。

雑な僧侶が弛緩した表情を浮かべる冒頭シーンからすでに気分が落ち込んでいたのですが、その後目に入るすべてが作りかけ。明らかにプレイヤーを招待する準備が整っていません。

不親切かつバグだらけのキャラクターメイキング。美しいポートレイトと醜いキャラクターモデルのとんでもない剥離。2005年以前のゲームと聞けばしっくりくる町並みは異常な低フレームレートをたたき出し、内部IDむき出しのツールチップを横目に市場の屋台をクリックすると、姿の見えない店主がドイツ語をしゃべりだします。通りには髭と帽子だけが浮かんでいますし、子どもたちは後ろから見ると首が切断されている。その他の男たちは、すべてを諦めたようなポーズで幽鬼のようにたたずんでいます。なんだこれは……。

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人間風オブジェクト。
名前もなく会話もできないのでNPCではありません。

宣伝されていたウリのひとつは、会話や状況説明を一人の声優がTRPGのゲームマスター風に吹きかえていることでした。が……。テキストと言っていることがずれているとか、his/herや人名など状況次第の部分を飛ばして読むので文章としておかしいとか、そんなことよりもえらく素人っぽい。英語版の声優までお金が回らなかったんでしょうか。すべてに音声があるわけではなく中途半端ですし、これはない方がむしろありがたいです。

惨状をあとにワールドマップで次の町への旅を始めると、一行が疲れ切ったらしくキャンプ画面になりました。それはいいとして、パーティメンバーしかいないはずの焚火の前に謎の親父が呆然と立ち尽くしています。いったい何者か。ここで何をしているのか。説明はありません。男はその後も野営のたびに現れました。

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なんなんだあんたは・・・

野営システムはExpeditions: Conquistadorと若干似ています。戦士が見張りに立ち、狩人は水場と晩飯を探しに行き、魔女は薬草をつみ……薄手の服だと風邪をひいたりもするようで、ここら辺はいい感じです。もっともメニューの大半が機能していないのですが。

何度目かの野営ではモンスターが夜襲をかけてきました。敵は「草原の犬」と「巨大オスカブトムシ」。とはいえ外見上はオークとスケルトンにしか見えません。しかしこちらも、もはやその程度では驚きません。RPGにとって戦闘は大きな柱。他が未完成としても戦闘だけは形になっているはず。そこさえよくできていれば、ゲーム全体にも希望が出てきます。頼む……。

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パーティよりプレイヤーが危ない。

実際には戦闘が一番ダメでした。昔、ゲーム学校の学生が課題でつくった作りかけゲームをひたすら遊ぶというわけのわからないことをしていた時期がありますが、そのときを思い出しました。

冒険者たちが攻撃やスペルを外しまくるのは低レベルだからにしても、あまりに理不尽なLOS判定、広げた寝袋が移動を阻んで身動き取れず、たまに攻撃が命中すると、新XCOMを意識したというクローズアップでどうしようもないアニメーションが表示されます。矢が命中する様をこんなに迫力なく描けるのか。そういえば効果音すら一切ありません。ときどきはWaitボタンを押して敵のターンを終わらせてやる必要もあります。ボードゲームをソロプレイする感覚です。

長引く戦いにうんざりしながら、なんとか最後に残ったスケルトン(巨大カブトムシ)を壁際に追い詰めました。するとそこで突然、スケルトンが腰をつきだすような奇妙なダンスを踊りはじめたのです。あっけにとられて見ていると、そのままゆっくりと回転しながら垂直上昇していきます。5分後、スケルトンはパーティメンバーを地上に残して画面から飛び去って行きました。私の希望とともに。

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衝撃の幕切れ。空に消えたスケルトン。

TRPG版をつくっている会社が「今回のリメイクに我々は一切関与していない」ことをわざわざ表明したくなるのも無理はないなと。Steamフォーラムにはたくさんの呪いの言葉と一緒に、開発にあたったCrafty Studiosの関係者の謝罪投稿がありました。パブリッシャーが延期を認めてくれず、発売日にあわせてパッチを出す予定だったがそれもトラブルで間に合わなかった、ということでしょうか。しかしどう見ても、Day1パッチ程度で解決できたレベルではありません。数カ月単位で開発が遅れていたはず。なのにSteamで予約を取り始める際、アーリーアクセスとしなかったのは致命的失敗と思います。

Crafty Studiosの主要メンバーは2人しかいないようで、しかも今回が初のパッケージゲーム制作だったとか。経験も人手も足りないなかで、すべてをフル3Dで作り直す必要はあったのかなと。それで得られたものは少ない気がしますし、FPSのような操作がDOS版そのままのシステムやUIと噛みあっておらず、ちぐはぐな印象です。DOS版はイベントやNPCとの会話を一枚絵で処理していたはずですが、それがなくなったのも寂しい。これと比べるとExpeditionsは、必要最低限のグラフィックを要所で入る美しい一枚絵でうまく補っており、全然チープさを感じさせませんでした。



あまりのひどさに感動したため前置きが長くなりました。ここからが本題です。書いてきたように、もう救いようがないというのが発売直後の感想でしたが、その後Crafty Studiosは再び、今度はいい意味で驚かせてくれました。

発売日からほぼ連日アップデートが続いた結果、いまでは当初ほど攻撃的なゲームではなくなっています。クラッシュや低fps問題は目立たなくなり(stutteringは依然ひどいですが)、町の人間は若干美しくなり(続くパッチで修正されるまで全員2mぐらい浮遊していましたが)、髭の亡霊や後ろ姿が死んでいる子供たちは消え、キャンプには謎の親父が出没しなくなりました。おまけに店に主人がいるので、もう虚空を相手に世間話しなくていい。テンポがよくなった戦闘では、たまに音がします。

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もはや異界ではなくなった最新v1.17での町。

この2週間での改善ぶりは本当に目覚ましいです。0.2が0.7ぐらいにはなりました。パッチのたびに全体の感触がまともになってきています。

努力は今後も続けられていくことになっています。Crafty Studiosが力尽きない限り、あるいはValveがSteamストアから追放してしまわない限り、数カ月先には0.7が1になっているかもしれません。今では買ってしまった自分を許せるようになったばかりか、ごくわずかに期待感も出てきました。

ただ、もし購入を迷っている方がおられれば、現時点ではまったくおすすめできません。パッチによって追加されたバグも多いようです。ようやく、かろうじてプレイ可能にはなりましたが、それだけです。独特のシステムを説明してくれるはずのマニュアルは未英訳で、チュートリアルはもちろんツールチップもろくにありません。DOS版かDrakensangのプレイ経験・マニュアルがないと意味不明だと思います。

非常に便利なパーティエディター
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Shadowrun Returns 感想

  • 2013/08/02 (金) :
  • 雑記
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シアトル、2054年。ヤクザも化け物も魔法使いも、肥溜めのなかじゃ似たようなもんさ。
ビルが高けりゃ影もでかい。そこを走り回るのが俺たちだ。

放置の言い訳はもう書きません。

Shadowrun Returns のキャンペーン、The Dead Man's Switchをクリアしました。聞いていたより長く、20時間はかかったと思います。ただ、そのほとんどは辞書片手に台詞を読んでいたかも。全体に占める会話パートの比重が極端に大きく、英語が達者な人、台詞を飛ばしまくる人はずっと早く終わるでしょう。今は中編小説を1冊読み終えた気分。

その読後感ですが、よかったです。ストーリーに賞賛が寄せられているのにも納得でした。丁寧に書かれた台詞の積み重ねで、ささやかな追跡劇がシアトルの命運を賭けた闘争へと拡大していきます。最終的に明らかとなる陰謀はおそらくTRPG版のソースブック"Bug City”へとつながるもの(ネタバレになりそうなので隠しました)。「またこういうのか」的な感じこそあれ、そこに至る語り口がうまいなあと。Shadowrun世界の魅力を紹介しつつ脇役の心情なども忘れずに描き、探偵小説風に手がかりが手がかりへとつながって、「先が見たい」思いを持続させるのに成功していると思います。ちょっと皮肉なエンディングも好きです。

10~20時間でクリアというとCRPGとしてはボリューム不足のようですが、これは欠点とまでは感じませんでした。シナリオ上で定められた戦闘以外では常にメインストーリーが進行しています。そのメインストーリーを(サブプロットや細かな分岐などで)さらに充実させてほしかった思いはあるものの、けっしてスカスカなゲームではありません。

昔から名前だけ知っていたShadowrun世界。ファンタジー+サイバーパンクという素っ頓狂な設定に抵抗を感じ、どうも興味が持てませんでした。なので私はTPRG版、SFC・MD版、何年か前に出たPC/Xbox版、どれも未プレイです。

ですが、いったん中に入ってみたら。ファイアボールのクールダウン中にピストルをぶっぱなすメイジ、斧とショットガンで暴れまわるドワーフ、それを電脳世界から援護するデッカー。戦闘風景がカラフルで楽しいだけでなく、仕事でミスを犯してパニックに陥る社畜エルフや、亜人差別に憤るトロールの好漢など。おなじみのファンタジー世界の住人たちが暗い社会で苦労しながら居場所をみつけ、それぞれの人生を送っています。上手なポートレイトのおかげもあって、意外と違和感がないし新鮮。新しいNPCに出会うのが楽しみでした。

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ときどき出てくるやや場違いな日本語。
カリフォルニア独立戦争で日本とエルフが手を組んで戦った?という、
奇想天外な歴史設定があるようです。

ストーリーを抜きにすると、微妙な点もいくつか。

まず非常に驚いたのが、面クリア型であること。スタートからエンディングまでをつなぐ40弱のシーンがあって、シーン1から順にプレイしていきます。それぞれのシーンには余計な(探索を誘う)NPCやイベントがほとんど配置されておらず、過去にクリアしたシーンに戻ることも、進む先を選ぶこともまずできません。超リニア。

しかもシーン途中でのセーブ不可。後半に全滅するとシーンの最初に戻されて情報収集からやり直しという奇妙な仕様。このようにした理由は、失敗を取り返せない緊張感を重視したためと、途中セーブを可能にする予算がなかったとのことですが、タブレット版でメモリーの制約があったから?

いずれにしろ今回のシナリオでは、さいわいシーンひとつが20~30分程度なのと、おそらくこのシステムを前提に難易度が抑えられているのでまあ耐えられました。ですがやっぱり不便です。今後のパッチで終了時自動セーブあたりは追加してほしいです。

また全体の構造だけでなく、ひとつのシーンのなかでもリニアなゲームでした。会話で豊富に用意された選択肢は、どれを選んでもメインストーリーの流ればかりかその会話の展開すら変わらないことがほとんど。

たとえば、仕事を頼まれた時に:
A いいよ。いくら用意できる?
B 俺は大金でしか動かない。
C あなたは資産家だそうですね。

結局どれも同じことを言っています(ゲーム中の台詞ではありません)。BioWareのRPGでもよく見ますが、こういう選択は重要なものに混じって配置されている分には、性格に沿った言い回しができるので好きです。しかしこのゲームではこればっかり。どれを選んでも直後の応答が変わるだけということが読めてくると、会話の緊張感が損なわれてしまいます。基本となるストーリーがよいだけに、せめてシーン内での分岐がもっとあれば、さらにのめりこめたのになあと。

それと選択肢でもうひとつひっかかったのは、能力値や所持スキル・アイテム上選べない選択肢まで見えることです。このNPCはStrengthが5以上あれば恫喝で意のままにできるというのが、非力なキャラクターでプレイしてもわかります。ときにはそれがヒントになってしまったりして、ちょっと興ざめでした。

shadowrun_02.jpg
助っ人雇用画面。ピンクに光るメガネの女性は、
一見強そうですがさっぱり使えません。

シーンによっては、数十人の傭兵リストから最大3人を雇ってパーティを組めます。彼らはあくまで一時的な助っ人で、シーンクリアとともにいなくなります。おかげでいろいろな構成を試せるよい面もありますが、パーティメンバーへの愛着は沸きづらいです。連れ出した傭兵の状態は記録されず、経験を積むこともなければ、死なせても何事もなかったかのようにリストに復活。アイテムの受け渡しができないのも不便ですし、この辺はかなり大味ですね。

では、終始つきあうことになる主人公の成長システムが凝っているかというと。

●Body 体力、ダメージ減少
●Quickness 銃撃
    Ranged Combat
     +---Pistole
     +---SMG
     +---Shotgun
     +---Rifle
    Dodge
●Strength 格闘
    Close Combat
     +---Melee Weapons
     +---Unarmed
    Throwing Weapon グレネード関係
●Intelligence ハッキング・ドローン
    Biotech メディキット使用時の回復量
    Decking
     +---ESP Control マトリックスで使える補助プログラム
    Drone Control
     +---Drone Combat
●Willpower 魔法
    Spell Casting
    Chi Casting Adeptが使う特殊魔法
●Charisma 交渉能力・精霊・召喚
    Spirit Summoning
     +---Spirit Control
    Conjuring サポート魔法

一般的RPGでの能力値、スキル、アビリティなどをひとつにまとめたシステムです。6つの基本能力値を上げると、それに対応したサブ能力値を上げられるようになり、これらを伸ばすと戦闘でつかえるアビリティが増えます。すべてはクエスト達成時に得られるカルマで上昇させます。

やや不満なのは、どれを上げるか迷う余地が少ない点。ドワーフのストリートサムライでプレイしたところ、Intelligence、Willpower、Charismaについてはまったく上げる必要性を感じず、最後まで初期値のままでした。それと知覚力、隠密行動などシーフ系の能力が無視されているのも残念です。今回のシナリオでは戦闘と会話しかなかったのでよかったですが、シナリオエディターのことを考えれば、もう少し汎用性のあるシステムにすべきだったのではと思います。

shadowrun_04.jpg
サブ能力値を最低の1(左)から伸ばしていくと、順にアビリティが覚えられる。
どの技を習得するか選ぶことはできず、ここでもリニアです。

戦闘システムは一応アクションポイント制をとっているものの、1AP=1マス移動ではなく新XCOMのような移動方式。中盤まで全キャラクターのAPが2(1ターン2回行動)ですし、オーバーウォッチ、カバーの扱いなんかも含め、基本はけっこう似ているかもしれません。武器のリロードはあっても弾薬は使い放題、魔法はマナなどを消費せず、クールダウン(間をあけずに連続使用するとヘルスにダメージ)があるのみです。

倒した敵が金やアイテムを落とすことは基本的にありません。経験値もないわけですから、あえて戦闘する理由が存在しないゲームです。今回のシナリオでは戦いを避けられる機会が滅多にありませんでしたが……ただ、ステルス要素も実装予定だったらしく、その名残なのか離れた敵がこちらに気づかずやりすごせることはありました。

バランス面では、難易度ノーマルでプレイしたところ、中盤もだいぶ進むまでかなり簡単に感じました。ゲームオーバーの不安を抱えながらの戦いになったのは数回のみ。歯応えを求める方は初回からハード以上でプレイした方がいいかもしれませんが、前述の通りセーブシステムの特殊性があるので、頻繁に全滅が起きるとそれはそれでやる気をそがれそう。今日リリースされたv1.0.2パッチで少し武器バランスに修正が入ったようです。

shadowrun_05.jpg
刀、銃、手榴弾、魔法、精霊召還、ドローン……多彩な攻撃手段。
ひとつひとつはあっさりした作りで、深みはありません。
あと銃の使い勝手が若干よすぎるような。

shadowrun_03.jpg
デッカーの独壇場となる電脳世界マトリックス。
基本的には通常の戦闘から色が変わっただけ。

ということで不満はあります。ありますが、それよりも会話と世界の魅力が上回っていました。

個人的に、Kickstarter発の作品に期待するのは、究極のCRPGではなく丁寧に作られた変わり種です。Shadowrun Returnsはその意味で十分期待に応えてくれました。興味深い背景を持ちつつもシナリオに絡んでこないNPCたちには、DLCでの再登場を期待しています(特にCoyote、Mr Kluwe、Dr Saraにぜひまた会いたい)。

最後に、このゲームをムキになって批判している人には、ぜひ数日前に発売されたRealms of Arkaniaを試していただきたいです。ちょっと気を抜くと、ターン制RPGはあそこまで落ちるという意味で。


これからプレイされる方へ:
  • どんな場合でも、同じ場所に同じ状態で戻ってくることはできません。一見ハブのように見えても違います。必ずすべての用事を済ませてから先に進んでください。
  • オブジェクトのなかには、複数回調べられるものもあります。
  • ショップの品ぞろえは、シナリオの進行とともに3段階ぐらい変わります。
  • 回復魔法は、直前の攻撃による傷だけ治せます。敵Aから15点、その後Bから1点ダメージを受けると、15点の方はもう治せません。
  • 反応射撃(オーバーウォッチ)でも特殊能力を使えます。APを減らす攻撃をセットしておけば、その場で敵の行動を終わらせることも。
  • 側面や背面からの攻撃には特にダメージボーナスなし。
  • Trauma Kitを使うことで仲間を蘇生可能。
  • 肉体改造でエッセンスが減ると魔法のクールダウンが伸びます。
  • Lay Lineは上に立っている間、魔法が強化されます。
  • シャーマンはマップ上にときどき存在するどくろマークをクリックすることで、地縛霊(?)を召還できます。
  • 任務中に傭兵を死なせてもクリアさえできれば問題ありません。同じように仲間に与えた&拾わせたアイテムは全部消えます。
  • パーティにデッカースキルを持つ者がいなければ入れない部屋、得られない情報がたまにあります。なくても救済手段が用意されているので進行上は問題ないはず。
  • ハッキングできるターミナルは、デッカースキルを持つキャラクターを選択しているときしか表示されません。
  • drek=shitに相当?、run=仕事、geek=殺す?、so-ka=そうか、Tir=エルフの国?、Lone Star=警察、UCAS=米加連合、six world=この世界、Wiz=いいね!


エディター
とユーザーシナリオ

shadowrun_06.jpg
サイバーパンクRPGツクール2013。
公式シナリオを開いた状態

Neverwinter Nightsのようにシナリオエディターが付属しており、作成したシナリオをSteam Workshopを通して手軽に配布できます。エディターにどのぐらい制約があるのかわかりませんが、ちょっと触った限りでは本格的なものに見えます。アイデア次第で様々つくれそう。私に英語力と根気と才能さえあれば……。

ユーザーシナリオ開始時のオプション:
・新規キャラクター作成
・セーブからキャラクターをインポート(成長度と装備のみ)
・シナリオ専用キャラをつかう

つまり、ひとりのキャラクターで様々なシナリオを遊べます。成長しきったあとで新米向けシナリオを遊びたいときは、セーブデータの巻き戻し機能でカルマが低い状態のセーブをつくり、そこからキャラクターをインポートします。

エディターのガイド
TRPG版をもとに大型キャンペーンをつくる計画
スーパーファミコン版のリメイク計画


Shadowrun Returns Anthologyについて

shadowrun_01.jpg

通常版にプラス$15で買えるShadowrun Returns Deluxeには、サントラとShadowrun AnthologyというPDFファイルがついてきます。ずいぶん値段が違いますが、はたしてそれに見合う内容なのか。

全194ページ、フルカラー。そのうち120ページほどは、Shadowrunに関与してきたライターたちによる16篇のショートストーリーです。コミックではなく小説。思ったより文字量があって、なかにはゲーム中語られない重要NPCの過去についてのエピソードもありました。まあ全然ちゃんと読めてはいません。残りのページはコンセプトアートとKickstarterでのバッカーへの感謝に捧げられています。

オマケとしてはよくできていますが、紙ではなくPDFですし、1500円の価値があったかというと微妙です。サントラはゲーム内で聞けば十分かも。Deluxe版がセールでぐっと安くなったら、そして本編に加えてさらに英語を読むことに抵抗がない方なら、おすすめかと思いました。
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Xenonauts の現状での感想

  • 2013/06/02 (日) :
  • 雑記
またしてもお久しぶりです。このところ更新停止状態なのはいいとしても、いただいたコメントにお返事できていないのはなんとも申し訳ありません。記事を読んでくださったばかりかフィードバックまでいただけるのは、どんな内容でもとてもうれしいです。にもかかわらず……この悪い癖を直したいです。

書きたいことがたまってまして、まず、今日Steamでも発売開始されたXenonautsについて。

xenonauts_16.jpg

Xennonautsは、初代X-com(1994年発売)のファン向けプロジェクトのひとつで、オリジナルのバランスやゲーム展開をかなりの部分まで模倣しつつ、外見を刷新して改良を施すのがその目的だと思います。

計画が公にされたころは、1CのUFOシリーズやExtraterrestrialsなど既存のX-com系ゲームの出来に幻滅していただけに、とうとう決定版の登場かと興奮しました。ですがその後、FiraxisがX-comを破たんなく現代化して成功をおさめ、さらにはオリジナルの大量のバグを一掃してAI改良などを行なったOpenXcomが、先月ほぼ完成へと漕ぎつけています。なのでXenonautsが実現しているのが「あのX-comをもういちど」だけとしたら、存在意義は当初より薄れた気がします。

その辺どうなのかと、最近はXennonautsのBeta18.51 hotfix2をプレイしていました(Steam版の一個前のバージョン?)。今年になってやっとキャンペーンをまともに遊べるようになったXennonautsは、今もところどころ説明テキストやイラストが仮のまま、バランス調整はこれからという段階。Steamにある通りアーリーアクセスであり、未完成です。

xenonauts_17.jpg

Xenonautsでエイリアン侵攻が始まるのは近未来ではなく、米ソ冷戦まっただなかの1979年。ただこの変更がゲームプレイに及ぼす影響というのはとくに感じられません。初期装備がM16だったり、F16やチヌークの改良版だったりする程度でしょうか。戦略パート、地上戦闘パートともに、初代X-comと同じ感覚でプレイできます(チュートリアルの類が一切ないので、シリーズ未経験の方にとっては現状とっつきにくいゲームかも)。

地上戦闘パートでは、初代X-comの基本要素を完全再現しています。一部を除く壁・オブジェクトは自由に破壊可能。バースト射撃と単発射撃をつかいわけ、敵ターンで行なう反応射撃のことも考えるタイムユニット制。見えない闇の向こうから容赦なく飛んでくるエイリアンの攻撃。反応射撃がかすっただけで即死する新兵。高価な装甲車両は一発も撃たないまま爆発炎上。煙幕をはりながらカバー伝いに前進してもなお犠牲者は避けられず、なにもかもX-comです。

そのうえで以下の違いがあります。
  • 連れて行ける兵士は最大8人(戦車は2人分で換算)
  • 腰の高さの障害物は乗り越えられる
  • 民間人、武装した軍人や警官が多くの戦闘で登場(もちろん味方として)
  • 射撃時にタイムユニットを余計に消費して、命中率を高められる(操作もふくめJagged Allianceと同じ)
  • 一発ごとに弾道を計算。射線上に障害物があれば命中率が下がり、付近の味方へ当たる可能性も(初代も似たようなものだったはずですが、どの障害物に着弾する可能性があるか確率が示されるので、より意識しやすくなっています)
  • 人間、エイリアンともに、近くを弾がたくさんかすめていくと制圧状態になる(反応射撃ができなくなり、次ターンのタイムユニットが半分に)。よって命中率が3%でも撃ちまくっていれば敵をくぎ付けにできますが、機関銃が味方を「制圧」してしまうことも頻繁です
  • 破片、煙、スタンのグレネード3種にくわえて制圧効果を与えるフラッシュバンが登場
  • マップは手作り(非ランダム)、車などオブジェクトの配置はランダム? 正直マップのバリエーションはさほどありません。すぐに使いまわしが目立ってきます
  • 地形の高低はほとんどなく、平坦なマップばかり
  • 多階層の建物はたくさんあるが、AIは階段を上らないようで、活かされる機会がない。また墜落したUFO内がやけに狭いうえに、AIはUFO外をうろつく傾向があって、UFO内での銃撃戦がなかなか起きない
  • ほかにもグレネードを投げないなど現AIは動きに幅がありません。不利なら後退する、カバーを使うなど基本的動きはこなします
  • エイリアンの全滅以外に、UFOの司令室を5ターン確保することでも勝利可能(最後の敵を探し回る必要がなくなった)。同様にエイリアン基地襲撃ではコア破壊でのクリアも
  • 戦いに時間をかけすぎると、高位のエイリアンがマップから逃げだす
  • 人間側は超能力を使えない?
  • 弾薬、爆発物と実弾系の武器は無料で使い放題
  • エイリアン側の武器は拾っても使い物にならないし、戦闘終了後に自動売却される(人間用を研究開発する必要がある)
  • グレネード専用スロットができて、投げるのが簡単に。その他UIはいろいろ便利になっています
  • テラーミッションに失敗すると、核攻撃で都市が破壊され後味が悪い(テキストが出るだけですが)

xenonauts_11.jpg

「モラル」という数値があって、味方の死などで低下します。ただずいぶん戦闘をこなして全滅も数度あったわりに、パニックや凶暴化は一度も見ていません。これが意図通りだとしたらちょっと残念です。かなり以前のビルドを試した時は、わりとすぐパニックになったはずなんですが。

xenonauts_18.jpg

地味な変更がおおいなか、航空戦闘パートは唯一大きく様変わりしています。

迎撃機とUFOが接触すると専用の空戦画面へ。複数機が入り乱れるドッグファイトをリアルタイムに(RTS風に)操作します。残り燃料を考えながらミサイルや緊急回避、アフターバーナーなどを使っていくわけですが、ここは特に未調整な気がしました。

どうすればいいかよくわからないうちは、高価な戦闘機がいとも簡単に撃墜されてしまいます。航空戦はあくまでサブパートのはずなのに、そこで一度失敗するとダメージから立ち直るのに巨大な資金と時間が必要になります。その間地上戦闘もほとんどプレイできません(迎撃機なしではUFOを不時着させられないので)。資金難のときなど詰み状態になってしまうこともあり、なんだかバランスとしておかしいと感じるのがひとつ。

そしてUFOの行動パターンが毎回同じなため、対処法さえわかってしまえば、今度は逆に新型が出てくるまで負けなしになり、作業的になってしまうのがもうひとつ。地上戦とおなじく航空戦で使う弾薬類も無限補充なので、いつでも最良のミサイルを撃ちまくれるせいもあります。

xenonauts_04.jpg 

航空戦が細かくなった以外では、戦略パートにおける新要素は特に見当たりません。地球の10エリアそれぞれでの活躍度に応じて、来月の援助額が決まります。基地運営や研究開発だけでなく、防衛戦やエイリアン基地の捜索など、初代X-comにあるものはXenonautsにもあるようです。

UFOを迎撃しないまま放置しておくと、「漁船が銃撃され10人死亡」などのニュースが位置とともに流れるのは面白いと思いました。ニュースをたよりにエイリアン基地を探したりもできるんでしょうか。火星関係がどうなっているかについては、そこまで行っていないのでわかりません。

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私が試したBeta18.51 hotfix2は致命的バグの多いバージョンで、エイリアンのタイムユニット計算が明らかにおかしかったり、壁を透視して射撃してきたり、頻繁なクラッシュとセーブデータの破損だけでなく、理不尽なことだらけでした(hotfix3=Steam版では改善されているそうです)。それもあって、最初は新Xcomがいかに初代を上手に料理していたかばかり頭に浮かんだのですが……それでも我慢して遊んでいたらこれはこれで面白い。だんだん兵士に愛着が沸いてきて、最初のエイリアン基地を陥落させるまでの15時間程度熱中してしまいました。

初代X-comのキャンペーンシステムはCivilizationと似て、何度目のプレイであろうと、開始と同時にゲーム世界に取り込まれてしまう魔力があると思います。Xenonautsはそれをかつてなく忠実に再現しようとしているわけですから、そりゃつまらないはずがないなと。新X-comで過剰に簡略化されてしまった戦略パートをしっかり楽しめますし、制圧効果やカバーの重要性についても、新X-comとは違ったやり方で自然に表現できている気がします。ユニットグラフィックや一枚絵なども好みです。

労力をかけたことが伝わってくるプレイしがいのあるゲームと思います。同時に、目的を考えれば当然ながら、保守的すぎる気もしました。特に地上戦闘パートでもう少し新要素が欲しかったです。エイリアンの外見や動きはガラッと変えてもよかったんじゃないでしょうか。また時代背景と登場武器が現実味を増しただけに、なぜ8人だけかとか、なぜそんなに目が悪いのとか、伏せがないとか、同時突入できずにひとりずつ反応射撃に倒れていく滑稽さとか、航空機や砲撃の支援がいっさいない理由とか、些末なことが気になったりもしました(しばらくするとどうでもよくなりましたが)。

開発もいよいよ大詰めということで、完成後には再プレイしたいです。とりあえず今はバージョンアップでセーブが全滅してしまいましたし、Expeditions: Conquistador以外のことは考えられない状態なので、こちらはしばらく置いておくつもりです。
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