Jagged Alliance: BiA デモ感想
X-comとJagged Alliance 2、ふたつの名前をニュースサイトで目にする機会が急に増えました。この手のジャンルは大好きなのでうれしい限りです。最近は関係のゲームにいろいろ手を出しています。
先日公開されたJagged Alliance: Back in Actionのデモを遊びました。チュートリアルと、おそらくは後半の戦術マップをひとつ体験できます。
デモのダウンロード: Steam、InsideGames.de
当初のタイトル「JA2 Reloaded」を途中で現在のものに変更しただけあって、やはりJA2の素直なリメイクにはなっていません。プレイ感覚がもうぜんぜん違います。ターン制からリアルタイム制に変更されたほかにも、Fog of Warがなくなり、すべての敵の位置が初めから明らか。銃のダメージ・射程・精度はJA2より現実的になりました。LOSさえ通っていれば遠くの敵にも高精度で当たります。ヘッドショットは強烈なダメージ。通常の被弾でもわずかに硬直するので、撃たれ始めると敵も味方もあっという間に行動不能になります。
戦闘システムで新鮮に感じた部分は特にありません。「斬新なプラン&GOシステム」と宣伝されていますが、基本はおなじみのスマートポーズ式。JA2に影響を受けながらターン制を選ばなかったゲームには、すでにBrigade E5と7.62 High Calibreという(あくまでシステムだけなら)優れた作品があります。きちがいじみた難易度を除けば、ALFA: Antiterrorもいい線行っていました。マニアックな細部へのこだわりと、取れる行動の幅において、BiAはそれら類似タイトルに負けていると思います。
例えば、銃を構えたまま平行移動ができません。しゃがんだまま走ることもできません。
他にも粗を探していくと……
じゃあ全然ダメかと言うとそうでもないです。公式やJAファンの集まるフォーラムでは、BiAの情報が明かされるにつれ、特にふたつの点が激しい非難を呼びました。ターン制をやめたことと、Fog of Warがないこと。批判に答えるbitComposerの社員もいい加減うんざりしたのか、しまいには返答が投げやりで攻撃的になっていました。
で、実際にデモをクリアしてみると、ふたつはBiAの欠点ではないと思えます。JA2は鬼のような作りこみによって名作の評価を得たゲームでした。そのターン制戦闘システムが持つ可能性は、さらにMODコミュニティが10年以上かけて徹底追及してきました。いまさらそれを短い開発期間で模倣しようとしても、上辺だけの中途半端なものにしかならなかったんじゃないでしょうか(2010年10月の時点では、まだターン制を考えていたようです)。
思い切ってリアルタイム制に変更したことで、BiAはターン制の銃撃戦が持つ不自然さから解放され、スピード感と緊張感があって見た目にもそれらしい戦闘を手に入れました。インターフェースは整理されており、クラッシュもなく安定しています。おかげでユニットを一斉に動かせる、リアルタイム制ならではの良さをストレスなく楽しめました。例えばAが囮として飛び出す、同時にB・Cが立ち上がって射撃とか、そういう。JA2とはまったくの別物で、7.62のようなマニアックさもなく、さらに細かい不満がありますが、想像していたより戦闘がおもしろいです。
索敵のスリルが失われたことについても、マイナスばかりじゃないはず。陽動をかけたり、攻撃のタイミングを合わせたり、緻密に戦術をプランできるのは配置が見えるおかげでしょう。敵はきちんと音を聞き、目で見ているようで、こちら側はステルスできます。またFog of Warオプションを発売後のパッチで追加する可能性があるそうです。実現すれば、歯応えについての心配は一切なくなるはず。デモのマップは敵が見えていても難しく感じました。AIもプレビューで聞いていたほど間抜けじゃないようで、仲間と合流したり、退却する素振りを見せたり、戦闘後に治療を始めたりします。
撃たれたら死ぬ緊迫した戦場で、兵士の行動をプランしながら戦っていくところはHidden & Dangerous。位置のわかっている敵の大軍を出し抜いていくところはCommandos 2っぽい気がしました。
JA2には銃撃戦以外にもたくさんの要素が詰まっていました。NPCと会話したり、時にはモンスターと戦いながらストーリーを進めるRPGであり。レジスタンスを配置して政府軍の反撃に備える戦略ゲームでもあり。さらに金と人材をうまく使う傭兵団運営ゲームでもありました。そうした部分がどう変わるか、デモではわかりません。Steamで公開されているマニュアルを読むと、傭兵が期間雇用から買い切りになる、乗り物がなくなる、モンスターも出ないようです。それはいいとして、自分の分身が作れなくなったことだけはあまりに残念。そこは本当にがっかり。
bitComposerの人が「発売後にパッチで追加を考えている要素はFog of Warだけ」と言っていたのがひっかかります。DLCを出すとしても装備などちょっとしたものになるそうで、MODのサポートにも力を入れる気がないとのこと。これで完成です、と言われると物足りなさを感じます。あとひとつ何か驚きがあれば予約に走っていたんですが。
(一応誤解を与えるといけないので。私はBrigade E5と7.62が大好きなんですけれど、大手レビューサイトではふたつとも大酷評されています。冷静に見て、戦闘システムと武器の扱いだけが突出して優れているものの、それ以外の多くの部分はまあまあ~悲惨なゲームだと思います。マニュアルを読んでいると大興奮。でも実際プレイを始めると粗が目に付くという。ALFA: Antiterrorはその傾向がさらに極端で、ほとんどゲームになっていないと感じました)
先日公開されたJagged Alliance: Back in Actionのデモを遊びました。チュートリアルと、おそらくは後半の戦術マップをひとつ体験できます。
デモのダウンロード: Steam、InsideGames.de
当初のタイトル「JA2 Reloaded」を途中で現在のものに変更しただけあって、やはりJA2の素直なリメイクにはなっていません。プレイ感覚がもうぜんぜん違います。ターン制からリアルタイム制に変更されたほかにも、Fog of Warがなくなり、すべての敵の位置が初めから明らか。銃のダメージ・射程・精度はJA2より現実的になりました。LOSさえ通っていれば遠くの敵にも高精度で当たります。ヘッドショットは強烈なダメージ。通常の被弾でもわずかに硬直するので、撃たれ始めると敵も味方もあっという間に行動不能になります。
戦闘システムで新鮮に感じた部分は特にありません。「斬新なプラン&GOシステム」と宣伝されていますが、基本はおなじみのスマートポーズ式。JA2に影響を受けながらターン制を選ばなかったゲームには、すでにBrigade E5と7.62 High Calibreという(あくまでシステムだけなら)優れた作品があります。きちがいじみた難易度を除けば、ALFA: Antiterrorもいい線行っていました。マニアックな細部へのこだわりと、取れる行動の幅において、BiAはそれら類似タイトルに負けていると思います。
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プラン&Goシステム。普段はRTSのように指示を出し、要所ではポーズをかけて細かく指示を出していきます。状況が変わるたび自動でポーズをかけることも可能。 |
例えば、銃を構えたまま平行移動ができません。しゃがんだまま走ることもできません。
他にも粗を探していくと……
- 姿勢ですべてが決まってしまう
次の射撃でどの程度照準に時間を使うか、すべて姿勢でコントロールします。伏せながら雑に撃つなどの自由度がありません。 - 制圧射撃が意味をなさない
素のJA2でもそうでしたが、BiAもたぶん同じ。傭兵にはモラルというパラメータがありますが、戦闘状況で変化するわけではないようです。 - 銃が実名でない
DragunovはDoruganoff、Glock 17はKlock 17など。微妙に名前が変えられています。ライセンスの問題なんでしょうけれど、Klockってなんかしまらない。 - 銃のアクセサリーはキャラクターに装備
スコープやサイレンサーといったアクセサリーは、銃そのものに取り付けるのではなく、キャラクターごとにひとつしかない専用スロットへ装備します。同時に複数のアクセサリーを使うことはできません。 - 銃を持ち替えるたびにリロードを始める
プライマリーを撃ち尽くしたとき、咄嗟にサイドアームを抜いて反撃できません。それじゃサイドアームの意味がないです。地味に一番不満です。 - 爆弾を自由に設置できない
破壊できる壁があらかじめ決まっている(そしてすごく少ない)のは仕方ないとして、C4をトラップとして使う自由すらありません。使い道がわかりません。 - 金網をペンチで破れない
破れたらずいぶんルートの幅が広がったのに。 - 成長システムが単純になっている
レベルが上がるたび、各能力値にポイントを振り分ける方式になったようです。 - 傭兵のポートレイトが、なんか
好みの問題ですけれど、オリジナルの絵の方が遥かに魅力を感じました。ポートレイトまで3Dモデルにする必要あったんでしょうか。 - LOS判定
LOSが通っているかどうか、敵をいちいちポイントしないとわかりません。また少しでも隙間があれば攻撃可能と判断してしまうようで、感覚的にありえない場所の敵へ射線が通ったりします。
じゃあ全然ダメかと言うとそうでもないです。公式やJAファンの集まるフォーラムでは、BiAの情報が明かされるにつれ、特にふたつの点が激しい非難を呼びました。ターン制をやめたことと、Fog of Warがないこと。批判に答えるbitComposerの社員もいい加減うんざりしたのか、しまいには返答が投げやりで攻撃的になっていました。
で、実際にデモをクリアしてみると、ふたつはBiAの欠点ではないと思えます。JA2は鬼のような作りこみによって名作の評価を得たゲームでした。そのターン制戦闘システムが持つ可能性は、さらにMODコミュニティが10年以上かけて徹底追及してきました。いまさらそれを短い開発期間で模倣しようとしても、上辺だけの中途半端なものにしかならなかったんじゃないでしょうか(2010年10月の時点では、まだターン制を考えていたようです)。
思い切ってリアルタイム制に変更したことで、BiAはターン制の銃撃戦が持つ不自然さから解放され、スピード感と緊張感があって見た目にもそれらしい戦闘を手に入れました。インターフェースは整理されており、クラッシュもなく安定しています。おかげでユニットを一斉に動かせる、リアルタイム制ならではの良さをストレスなく楽しめました。例えばAが囮として飛び出す、同時にB・Cが立ち上がって射撃とか、そういう。JA2とはまったくの別物で、7.62のようなマニアックさもなく、さらに細かい不満がありますが、想像していたより戦闘がおもしろいです。
索敵のスリルが失われたことについても、マイナスばかりじゃないはず。陽動をかけたり、攻撃のタイミングを合わせたり、緻密に戦術をプランできるのは配置が見えるおかげでしょう。敵はきちんと音を聞き、目で見ているようで、こちら側はステルスできます。またFog of Warオプションを発売後のパッチで追加する可能性があるそうです。実現すれば、歯応えについての心配は一切なくなるはず。デモのマップは敵が見えていても難しく感じました。AIもプレビューで聞いていたほど間抜けじゃないようで、仲間と合流したり、退却する素振りを見せたり、戦闘後に治療を始めたりします。
撃たれたら死ぬ緊迫した戦場で、兵士の行動をプランしながら戦っていくところはHidden & Dangerous。位置のわかっている敵の大軍を出し抜いていくところはCommandos 2っぽい気がしました。
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JA2でお世話になったアイテムを発見。 Fog of Warは「勘とトライ&エラーのゲームになり、楽しくならない」という理由で昨年8月に開発途中版から削除されたそうですが、その名残りでしょうか。それともパッチで再追加するための準備? |
JA2には銃撃戦以外にもたくさんの要素が詰まっていました。NPCと会話したり、時にはモンスターと戦いながらストーリーを進めるRPGであり。レジスタンスを配置して政府軍の反撃に備える戦略ゲームでもあり。さらに金と人材をうまく使う傭兵団運営ゲームでもありました。そうした部分がどう変わるか、デモではわかりません。Steamで公開されているマニュアルを読むと、傭兵が期間雇用から買い切りになる、乗り物がなくなる、モンスターも出ないようです。それはいいとして、自分の分身が作れなくなったことだけはあまりに残念。そこは本当にがっかり。
bitComposerの人が「発売後にパッチで追加を考えている要素はFog of Warだけ」と言っていたのがひっかかります。DLCを出すとしても装備などちょっとしたものになるそうで、MODのサポートにも力を入れる気がないとのこと。これで完成です、と言われると物足りなさを感じます。あとひとつ何か驚きがあれば予約に走っていたんですが。
(一応誤解を与えるといけないので。私はBrigade E5と7.62が大好きなんですけれど、大手レビューサイトではふたつとも大酷評されています。冷静に見て、戦闘システムと武器の扱いだけが突出して優れているものの、それ以外の多くの部分はまあまあ~悲惨なゲームだと思います。マニュアルを読んでいると大興奮。でも実際プレイを始めると粗が目に付くという。ALFA: Antiterrorはその傾向がさらに極端で、ほとんどゲームになっていないと感じました)