Chivalry: Medieval Warfare
10/20追記 現在発売中ですが、ベータ期間中に何度かパッチがあたり、ここに書いた不具合はほとんど解消されています。ネットコードも改善されたと思います。
9/24追記 公式サイトからも予約できるようになりました
9/24追記 公式サイトからも予約できるようになりました

Chivalry: Medieval Warfareのベータテストに参加する機会を得ました。NDAの類は皆無だそうです。
何それ
映画「300」、「キングダム・オブ・ヘブン」、「グラディエーター」、「ブレイブハート」あたりのファンに贈る、中世近接格闘アクション。Half-Life2でやや人気を博したmod、Age of ChivalryのチームがTorn Banner Studiosを名乗り、
特徴
- マルチ専用。わりと丁寧なトレーニングあり。BOT戦も可能だが知能は低い
- 弓兵や騎士といった4種のクラス
- 経験を稼ぎ、たくさんの武器をアンロックしていく
- ただしあくまでスキル至上主義
- 目標を順に達成していくObjectiveモードがおそらく最大の売り
- 他にゲームモードはTDM(チームデスマッチ)、FFA(デスマッチ)、King of the Hill(マップ中央確保)、Last Team Standing(ラウンド制TDM)、Duel(1対1、未実装)
- プレイ可能人数は今のところ最大32人?
- FP/TP視点、どちらでも遊べる(がTP視点はおまけに近い印象)
「行動の選択肢が幅広い、深みある近接戦」「マウスで切っ先をコントロール可能」といった話を聞いていたため、Age of Chivalryとはまったく別物になるのか、もしかしてDie By the Swordの現代版がついに、と期待していたのですが、そういうわけではありませんでした。また、似たテーマのマルチ専用アクションとして、くしくもChivalryと同時期に発売予定のWar of the Rosesとは対照的に、Mount & Bladeからの影響はまったく見てとれません。
攻撃手段は実にオーソドックス。
●横に薙ぎ払う(左クリック)
●上から振り下ろす(ホイール下、遅いが大ダメージ)
●突く(ホイール上、速いが小ダメージ)
攻撃中に別の攻撃を出すとコンボに。またスイングしながら視点を振り回すことで、広範囲の敵にヒットさせられます。
盾はいくら攻撃を受け止めても壊れませんが、守れる範囲が限られます。パリ―(武器での防御)は、迫る武器の先端を視界中央にとらえて右クリック。M&Bのように防御方向を入力する必要はありません。タイミングさえ合っていれば、狙いは大雑把でもパリ―できるようです。敵の目前でいきなりしゃがみ、空振りを祈る危険な賭けもたまには有効。
防御を崩すためにはキック(盾持ちはシールドバッシュ)か、フェイント(攻撃の出始めにQ)を使います。どちらもAge of Chivalryにはなかったアクション。またクラスごとの特殊能力として、チャージアタック(スプリントからの強力攻撃)や、ドッジング(DDで右へ飛ぶ)なども。
攻撃やパリ―を含め、多くのアクションはスタミナを消費します。スタミナはダメージにも影響する、はずです(確かAoCではそうでした)。闇雲に武器を振りまわしていると戦闘力が激減しますから、計画的に行動する必要があるわけです。そのうえで、いかに敵の攻撃を空振りさせ、懐へ飛び込んで一撃を決めるかの駆け引き。
飛び道具は弓や石弓のほか、投槍や斧、ナイフなど。石弓兵が設置型の盾を使える、またSniper Eliteよろしく飛んでいく矢の視点にできるのがユニークですが、その他はいたってふつうでした。個人的にはWar of the Rosesの弓システムの方が好きです。

金属音と罵声が彩る血生臭い戦場
スクリーンショットだけだと中世白兵戦シミュレーターを志向しているように見えなくもないですが、Chivaryがやりたいのは史劇アクション映画の戦闘シーンの再現とのこと。史実よりも雰囲気と楽しさ重視で、舞台も架空の西洋中世っぽい世界です。
戦闘では皆がスプリントを多用し、ときにジャンプを織り交ぜ、高速で走り回ります。かなりの高さから落下しても死ぬことはなく、ヘルスは徐々に自動回復。一方で攻撃動作は緩慢ですから、フェイントなしの攻撃を防御するのは(M&Bに比べて)難しくありません。しかしダメージは強烈、当たってしまえばヘルスが激減するというバランス。M&BともWar of the Rosesとも異なるプレイ感だと思います。FP視点で格闘するという面で、特に操作のしにくさなどは覚えませんでした。
Objectiveマップ
ある目標を攻略したら次の目標が出現するObjectiveマップは、ストーリー性が強く盛り上がります。目標は例えば、松明を投げて村に火をかける、住民NPCを殺戮する、敵領に投げ込むために伝染病患者の死体を積んだカートを押していく。また王の暗殺、投石器や破城槌を操作して城を破壊するなど。単にキャプチャーメーターを眺めているだけではなく、自分の手でゴールを達成する実感が持てます。

「すべて焼き尽くせ!」
暗黒時代の悪役気分にひたれます
敵を嘲る
ひょっとしたらこれが最大の長所かも。とにかくボイスコマンド(定型文ラジオ)が気に入りました。Age of Chivalryでも力が入っていましたが、今回さらにクオリティが向上。
ありふれた指示・要請系から嘲笑まで、パターンが豊富で声優がノリノリです。盾を打ち鳴らすなど、動作つきの挑発ポーズも用意されています。スプリント中に挑発キーを押せば、野太い声でときの声をあげます。「騎士団に栄光あれ!」「今日は死ぬのに格別だ!」などとわめき散らしながら突撃し、敵を倒して馬鹿笑い。 あるいは重装甲の騎士の一団が呪いの言葉を叫びつつ迫ってくる光景に、映画さながら戦慄することもできます。いずれ飽きるとしても、低予算系では軽視されがちな部分に力を入れて作ってくれたのはありがたいです。
ゴア表現
Mount & Bladeも、そのアップデート版を目指したと思われるWar of the Rosesも、視覚的ゴア表現という面ではおとなしいゲームでした。しかしChivalryは平気でいろいろなものが飛びます。上のトレイラーからして首が転がりまくり。

リアリティのある表現ではないので、
プレイ中に凄惨さは感じません

THIS! IS! SPANIARD!(間違い)
馬は?
「騎兵」を意味するCavalryとは違い、Chivalryは「騎士道」という意味だそうで。馬が近い将来に実装される可能性はないとのことでした。
残念な点
※現在は改善されました
通信周りがあまりにまずいと思います。一般的に日本から北米サーバーへの接続なら、悪くてもping200以下で遊べることが多いはず。しかしこのゲームの場合、今あるなかでもっともpingが低いカリフォルニアのサーバーですら、ping250を越えてしまいました。参加人数が増えていくと400近くなることも。Tibberius氏(開発チームリーダー)がお遊びでサーバー設定をいじり、ゲームスピードを50%に変更したところ、私のpingも一気に半減しました。ということは、よくわかりませんが調整が全然足りないんでしょう。
そして、高ping状態でもなんとか遊べるタイプのゲームではなさそうです。位置取りや狙いの正確さといったpingに関係ない部分がほとんど問われず、男らしい正面衝突ばかり。わずかな隙をつくことがすべてなので。ping300前後では敵の攻撃をパリ―することすら難しく、おまけにワープの発生も頻繁です。最大の魅力であるはずの剣戟がさっぱり楽しめません。Objectiveモードは負荷が激しいのか、特にひどい状態になります。私自身が楽しくないのに加えて、「お前ping高すぎるから出て行って」と言われるのも時間の問題でしょう(問題を周知させる意味では、テストなんだからむしろ居座った方がいいのかもしれませんが)。
ベータに参加しようという日本在住の方は、発売までストレスのたまる環境で遊ぶことになるかもしれないのでご注意ください。発売まで、であることを祈るばかり。今後ネットコードを改善していくとは聞きました。

Tibberius氏の指揮のもと、一斉に敵を挑発する槍兵軍団
左端が私です。TP視点ではこのように自分が左下に表示されます
現時点での感想
残酷で暴力的で、ちょっとばかげた雰囲気。重そうな武器を重そうに振り回すところ。それをかいくぐって接近するスリル。鉄の鎧をメイスがへこませる手応え。そこらへんは大変いい感じです。今回ベータに参加して、打ち解けた雰囲気のなか開発者たちと一緒のサーバーで長時間遊び、しかもリーダーとデュエルまでできました(当然完敗)。これまでになく作る人との距離の近さを感じられた気がします。
ですがゲーム内容だけを見て評価するなら……$50(Betaに参加できる最低額)は正直言って出しすぎたかも。Age of Chivarlyからアクションの選択肢が増えたとはいえ、本質的には変わっていないんじゃないでしょうか。戦闘に本当に「深みがある」かどうかまだわからないとしても、やや飽きやすそう。
予定価格の$30を払っていたら印象が違ったかもしれないですし、あるいはひどいラグのなかでしか遊べないフラストレーションにすぎないかもしれません。アンロックシステムがフル稼働し、多様な武器が使えるようになれば変わってくる可能性もあります。

名誉をかけてのデュエルが熱い
とはいえ下手なうえに超高pingでは、もうどうにも
ベータテストに参加したい
これまではKickstarterのバッカーのみが、ベータに参加できました。
・予約は$30
・すぐにベータに参加したい場合は$50
ベータへの参加には、やはりKickstarterでも$50支払う必要がありました。ただしKickstarterでは、ベータ参加権付きのキーを$75で4つもらえるオプションがあったのですが、余ったキーをSteamトレードで交換しているプレイヤーが結構いるようです。公式フォーラムで関連スレッドが見つかります。
現状は上にも書いたように、プレイヤーもあまりいませんし、ゲーム自体も未成熟です。
問題への対処
武器アンロックはほぼ機能していません。しかし稀に機能する場合もあり、幸運なプレイヤーだけが初期装備以外の武器を持っています。直ったサーバーから切断するとき、ローディング画面が永遠に表示される場合。Scroll Lockキーを押してコンソールを出し(といっても見えないはずです)、「disconnect」と入力してEnter。サーバーブラウザが機能しない →こちら