Miasmata 印象
2013/1/3 追記 Steam版のみ、fpsを改善するベータパッチがリリースされています。方向転換時の視界揺れがなくなったほか、ジャーナルが記録されない不具合も修正された、ような気がします。fov調整機能はまだなし。V-syncをオンにすると頻繁にクラッシュするため、オフでプレイ中。

砂浜に死にかけた男がひとり。20世紀初頭、科学者Robert HughesはEden島へやってきた。その身をむしばむペストの治療法を見つけるために。しかし……血まみれの死体、無人のキャンプ、島中に残る悲劇の痕跡。そして彼の死を願うものは病原菌だけではなかった。獰猛で狡猾な「楽園」の番人が、太古の森を闊歩している。お前が私の新しい獲物か、松明の明かりを反射してギラギラと光るそいつの目は、まるで笑っているように見えた。
というゲームが絶対につまらないはずはないと考えMiasmataを買いました。Johnson兄弟による一人称視点アドベンチャー。
まず、Dear Estherとは島が舞台であること以外似ていません。
孤島サバイバルとの説明から、Stranded 2のようなロビンソン・クルーソー・シミュレーターを期待したのですが、そこら辺はあっさりしています。生きるのに必要なリソースは水だけ、食料の概念はなし。睡眠は単に体力回復とセーブのための手段。DayZのように必需品を探し回る必要もありません。大事なものはすべて最初から持っており、テントやランプは決まった場所から動かせず。インベントリーすらないも同然。
グラフィック面では細かく見ていくと粗が多く、テクスチャーがピンボケで貼り方も雑だったりします。そのわりに動作はなめらかではありません(Win7 64bit、i7-3770、GTX570、すべて最高設定でfps20-70)。雨が家の天井を突き抜けて降ってくるあたり、最初は非常に気になりました。ですが刻々様相を変える空や木漏れ日の美しさなどはさすがで、ハッとする光景にしばしば出会います。総合的には不満ありません。
開始時点で示される最終目標はペスト治療薬の完成。その達成に向けて島中歩きまわり、薬草とキノコを集め、顕微鏡で成分を分析して薬を調合していくのがゲームの柱です。究極の治療薬以外にもレシピは何種類かあって、ヘルスポーションに相当する薬や、能力を増幅させるものなど。調合作業は単純です。材料の組み合わせに悩む余地もいまのところほとんどありません。これは序盤だからかな?
クリアまでのタイムリミットはなし。どこに行くべきかの強制もなし。探索と材料集めにじっくり時間を使えます。その過程で主人公の背景と島で起きた事件の真相も明かされていくんでしょう。

ジャーナルには入手した情報がすべて書き込まれると同時に
簡易インベントリーの役割も果たします
探索にあたっての困難としては、まず現在位置を知るための地図作成があります。広い島を無計画に歩いていても迷うだけ。独特の三角法システムを使って、マップのカバー範囲を広げていきます。
具体的には点在する目印ポイント(人工物、テントや人頭像)のうち、マップに記入済みの目印がふたつ同時に見える場所を探します。その地点から両方をクリックすると、現在地が判明したとされ、マップに周辺図が描きこまれます。手順はより複雑になりますが、未記入の目印の位置をつきとめる手段も用意されています。
地形をつかった大掛かりなパズルでもあり、自分の手で探索している気分も味わえ、しかも手動マッピングのわずらわしさもなく、これはおもしろいシステムだと思いました。欲を言えば地図に自分で情報を書き込めるともっと便利ですが。

既知の目印がふたつ同時に見える場所で所定の手順を踏むと
マップに現在地周辺が描きこまれます
もうひとつは島をうろつく化け物の存在。相手はたった1匹、しかも外見は意外とかわいい(?)のですが、視覚だけでなく音、匂いも頼りにしてプレイヤーを執拗に追跡してきます。不死身のため殺すことはできません。接近を心臓の鼓動音で知らせてくれるので、石を投げて注意をそらす、茂みに隠れる、殴ってたじろがせる、あるいは全速力で逃げるなどして対処していきます。
逃走劇をよりスリリングにするためか、とにかく機敏に動けないように調整されています。この癖のある動きは、Miasmataでもっとも評価がわかれる部分じゃないでしょうか。慣性が激しく、移動キーを離した後もしばらく止まりません。上り坂ではがくんとスピードが落ち、下り坂では制御できないほど加速がついて、あげくちょっとした高さから滑り落ちただけでも転んでしまいます(そしてダメージを受けます)。
足元がおぼつかない感じを味わえる珍しいゲーム。例えば夜の森を全力疾走するときなどは、これが恐怖を何倍にも煽ってくれます。一方で普段の移動では、雑に動けないから緊張感が途切れないとも言えますが、単に不快に感じることも多く、良い面と悪い面が半々という感じ。まあかなり慣れてはきました。

午後10時、テントへの帰り道がわからない
この暗闇のどこかから、あいつが私を見つめている
おかしな仕様なのかバグなのか、頭をひねる箇所は多めです。主人公の息遣いがしつこい。デフォルトではマウスのY軸が逆転している(びっくりしました)。薬草3つを持ち歩けるはずが、同種はひとつしか持てない。おかげで材料入手ポイントと調合機材のある場所を何度も往復するはめに。できあがった薬も、持てるのはやはり各ひとつのみ。また材料を顕微鏡で分析した結果がなぜかジャーナルに記録されない場合もあります。
なかでも唯一真剣に我慢できないのがすさまじく酔うこと。FOVが狭すぎるのに加え、視界が頻繁にふらふらと横方向に奇妙な角度で揺れ、要求スペックを満たしているのにfpsは安定しません。Half-Life2以来、久々にゲームで吐きそうになりました。
さいわいFOVと軽量化についてはパッチで対応するつもりだそうです(Steamフォーラムの開発者の発言より)。それまではちょっと耐えられない、と言いつつ先を見たさに起動してしまう。そして体調が悪くなる。でも嫌いになれない。いやかなり好き。ここ何日かその繰り返しです。

砂浜に死にかけた男がひとり。20世紀初頭、科学者Robert HughesはEden島へやってきた。その身をむしばむペストの治療法を見つけるために。しかし……血まみれの死体、無人のキャンプ、島中に残る悲劇の痕跡。そして彼の死を願うものは病原菌だけではなかった。獰猛で狡猾な「楽園」の番人が、太古の森を闊歩している。お前が私の新しい獲物か、松明の明かりを反射してギラギラと光るそいつの目は、まるで笑っているように見えた。
というゲームが絶対につまらないはずはないと考えMiasmataを買いました。Johnson兄弟による一人称視点アドベンチャー。
まず、Dear Estherとは島が舞台であること以外似ていません。
孤島サバイバルとの説明から、Stranded 2のようなロビンソン・クルーソー・シミュレーターを期待したのですが、そこら辺はあっさりしています。生きるのに必要なリソースは水だけ、食料の概念はなし。睡眠は単に体力回復とセーブのための手段。DayZのように必需品を探し回る必要もありません。大事なものはすべて最初から持っており、テントやランプは決まった場所から動かせず。インベントリーすらないも同然。
グラフィック面では細かく見ていくと粗が多く、テクスチャーがピンボケで貼り方も雑だったりします。そのわりに動作はなめらかではありません(Win7 64bit、i7-3770、GTX570、すべて最高設定でfps20-70)。雨が家の天井を突き抜けて降ってくるあたり、最初は非常に気になりました。ですが刻々様相を変える空や木漏れ日の美しさなどはさすがで、ハッとする光景にしばしば出会います。総合的には不満ありません。
開始時点で示される最終目標はペスト治療薬の完成。その達成に向けて島中歩きまわり、薬草とキノコを集め、顕微鏡で成分を分析して薬を調合していくのがゲームの柱です。究極の治療薬以外にもレシピは何種類かあって、ヘルスポーションに相当する薬や、能力を増幅させるものなど。調合作業は単純です。材料の組み合わせに悩む余地もいまのところほとんどありません。これは序盤だからかな?
クリアまでのタイムリミットはなし。どこに行くべきかの強制もなし。探索と材料集めにじっくり時間を使えます。その過程で主人公の背景と島で起きた事件の真相も明かされていくんでしょう。

ジャーナルには入手した情報がすべて書き込まれると同時に
簡易インベントリーの役割も果たします
探索にあたっての困難としては、まず現在位置を知るための地図作成があります。広い島を無計画に歩いていても迷うだけ。独特の三角法システムを使って、マップのカバー範囲を広げていきます。
具体的には点在する目印ポイント(人工物、テントや人頭像)のうち、マップに記入済みの目印がふたつ同時に見える場所を探します。その地点から両方をクリックすると、現在地が判明したとされ、マップに周辺図が描きこまれます。手順はより複雑になりますが、未記入の目印の位置をつきとめる手段も用意されています。
地形をつかった大掛かりなパズルでもあり、自分の手で探索している気分も味わえ、しかも手動マッピングのわずらわしさもなく、これはおもしろいシステムだと思いました。欲を言えば地図に自分で情報を書き込めるともっと便利ですが。

既知の目印がふたつ同時に見える場所で所定の手順を踏むと
マップに現在地周辺が描きこまれます
もうひとつは島をうろつく化け物の存在。相手はたった1匹、しかも外見は意外とかわいい(?)のですが、視覚だけでなく音、匂いも頼りにしてプレイヤーを執拗に追跡してきます。不死身のため殺すことはできません。接近を心臓の鼓動音で知らせてくれるので、石を投げて注意をそらす、茂みに隠れる、殴ってたじろがせる、あるいは全速力で逃げるなどして対処していきます。
逃走劇をよりスリリングにするためか、とにかく機敏に動けないように調整されています。この癖のある動きは、Miasmataでもっとも評価がわかれる部分じゃないでしょうか。慣性が激しく、移動キーを離した後もしばらく止まりません。上り坂ではがくんとスピードが落ち、下り坂では制御できないほど加速がついて、あげくちょっとした高さから滑り落ちただけでも転んでしまいます(そしてダメージを受けます)。
足元がおぼつかない感じを味わえる珍しいゲーム。例えば夜の森を全力疾走するときなどは、これが恐怖を何倍にも煽ってくれます。一方で普段の移動では、雑に動けないから緊張感が途切れないとも言えますが、単に不快に感じることも多く、良い面と悪い面が半々という感じ。まあかなり慣れてはきました。

午後10時、テントへの帰り道がわからない
この暗闇のどこかから、あいつが私を見つめている
おかしな仕様なのかバグなのか、頭をひねる箇所は多めです。主人公の息遣いがしつこい。デフォルトではマウスのY軸が逆転している(びっくりしました)。薬草3つを持ち歩けるはずが、同種はひとつしか持てない。おかげで材料入手ポイントと調合機材のある場所を何度も往復するはめに。できあがった薬も、持てるのはやはり各ひとつのみ。また材料を顕微鏡で分析した結果がなぜかジャーナルに記録されない場合もあります。
なかでも唯一真剣に我慢できないのがすさまじく酔うこと。FOVが狭すぎるのに加え、視界が頻繁にふらふらと横方向に奇妙な角度で揺れ、要求スペックを満たしているのにfpsは安定しません。Half-Life2以来、久々にゲームで吐きそうになりました。
さいわいFOVと軽量化についてはパッチで対応するつもりだそうです(Steamフォーラムの開発者の発言より)。それまではちょっと耐えられない、と言いつつ先を見たさに起動してしまう。そして体調が悪くなる。でも嫌いになれない。いやかなり好き。ここ何日かその繰り返しです。