Space Empires: Starfury
Starpoint Geminiの感想で名前を出した、Starfury(Star Fury?)をご紹介します。プレイ当時に書いたメモと、おぼろげな記憶だけを頼りに書きましたので、正確でないところがあるかもしれません。
Starfuryを作ったのは、Malfador Machinationsというアメリカの小さな会社です。代表のAaron Hall氏が10年以上に渡ってほとんど一人で作り続けているSpace Empiresシリーズで有名です。
Starfuryは、そのSpace Empiresシリーズのスピンオフです。スペース4X(宇宙版Civのようなもの)だった本家とは大きく異なり、宇宙船一隻で銀河を旅するRPGとなっています。共通しているのは、背景設定や登場するエイリアン種族、兵器の名前ぐらい。遊ぶのに本家シリーズの知識はまったく必要ありません。
ターン制の戦闘が売りだったSpace Empiresシリーズは、5作目でとうとう3Dの宇宙とリアルタイム戦闘を実装しました。その開発段階の試行錯誤の中で生まれたのが、Starfuryだそうです。Starfuryの戦闘エンジンや設計画面は、その後発売された本家5に受け継がれています。本家を3D化するにあたっての、習作という意味合いもあったのかもしれません。
それで、これがStarpoint Geminiとよく似ているんです。かなり参考にした部分があるんじゃないかと、勝手に思っています。
シングルプレイヤー専用で、操作はStarpoint Geminiとほぼ同じ。マウスで艦の向きを変え、速度スライダーをクリックして加減速。宇宙は完全2Dなので、立体的機動はできません。
ストーリーは一応あるものの、基本的には好きなことをして稼げというタイプのゲームです。たくさんの星系を自由に移動しながら、各地のステーションでサイドミッション(ランダム生成)を受けたり、交易したりで経験値と金を貯めていきます。金がたまったら、パーツを買って自艦を改造したり、より強力な船に乗 り換えたり。
メインストーリーは、3つのキャンペーンにまたがる数十個のミッションで構成されています。私の場合全キャンペーンクリアまでに40時間以上もかかりました。艦改造で悩んでいた時間も相当あると思いますが。
正直言ってこのゲーム、RPGとしてはまったく見るところがないと思います。ストーリーは単なる状況説明ですし、ミッションの内容も単純作業が続きます。たくさん星系があっても中身はほとんど同じですから、フィールド(宇宙)を探索する楽しみもありません。平和的に交易で稼ごうとしても、利益はスズメの涙です。ということで、ひたすら戦闘します。移動中もひっきりなしに敵が襲ってきますから、幸い相手には困りません。
戦闘システムは、やはりStarpoint Geminiと似ています。前後左右4方向に分かれたシールドと、各砲塔の射界を考慮に入れながら、一斉射撃を繰り返して敵艦を沈めます。違いは、 Starpoint GeminiにあったPerkやマニューバー(スキル)がないこと、シールドの回復が速いこと、それとシールド貫通後のダメージの適用が細かくなっていること、ぐらいでしょうか。Starfuryではシールドが破られると、次に装甲板がダメージを吸収、それも破られると、細かなパーツが一個一個ダメージを受け、性能が落ち、しまいには壊れていきます。あとは、アステロイドを盾にできたり、体当たりが戦術として有効なのも、Starfuryの良い所かもしれません。
AIは、それなりに戦闘をこなしてくれます。機雷を撒いたり、ダメージを受けた面をこちらに向けないようにしたり、左右に蛇行して砲撃をかわしたり。でも状況に合わせた行動という意味では貧弱で、瀕死でも絶対に逃げようとしません。敵勢力所属であれば、貨物船ですら無条件で戦闘を挑んでくるのはちょっとど うかなと。
Space Empiresシリーズは、自分で船を細かく設計できるのが大きな売りのひとつでした。Starfuryではその設計モードがさらに細かくなっています。ここはStarpoint Geminiより数段優れていると思います。
例えば、エンジンスロットにはどのエンジンを積むかだけではなく、どのタイプ・等級のエンジンを、いくつ、船体のどこに積むかまでカスタマイズできます。 重要なパーツを置いた場所によって、被弾時の生存能力が変わってきます。パーツの選択肢もきわめて豊富です。シールドを無視するビームや、クルーだけを殺す生物兵器など変わったものもありました。制約のなかでいかに最強の艦を作るか、ちょっといじっては戦闘し、その結果を元にまたちょっといじり……と悩みがいのあるシステムだと思います。
ただ、パーツごとの性能バランスはあまり取れていなかったです。中盤以降は、敵が落とす一部の兵器が異常に強力な反面、存在価値がほとんどないものも出てきます。特に戦闘機の弱さが目立ち、空母を買っても本来の目的で使うことができませんでした。また、船を一隻しか所有できない、複数の設計を保存できない点も不満に感じました。Starpoint Geminiもそうですが、あちらよりも一隻のカスタマイズにかける時間がはるかに長いので。
完成度が高いとはお世辞にも言えないゲームだと思います。発売当時、Space Empiresシリーズのファンにすらあまり好意的に受け止められていなかったような記憶があります。宇宙がからっぽで、戦闘と改造以外に楽しめるところはほとんど見当たりません。その戦闘も同じことの繰り返し、操作やインターフェース、カメラ周りでも不親切な部分が目立ちます。「MODを作りやすくしたから、あとはMODでなんとかしてくれ」と、未完成のまま発売されたようでもあります。
と悪口ばかり並べましたが、じゃあ嫌いかというと、わりと好きです。少なくともプレイ当時はそう思いました。もう飽きた、またこれか、と思いながらもプレイを止められず、クリアまで行ってしまいました。戦艦RPGとしては、精神的な続編(だと私が勝手に思っている)Starpoint Geminiの方がおすすめです。あれだけじゃ物足りない、もう一本同じようなゲームが遊びたいという方がもしおられれば……今ならダウンロード販売で激安で買えます(年末セールでは確か$4前後だったはず)。
Shrapnel Games Starfuryフォーラム
Spaceempires.net Space Empiresシリーズの総合ファンサイト。Starfuryコーナーも。
Captain Kwok's Space Empires Depot 同じくシリーズファンサイト。StarfuryのMODが落とせます。
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古いゲームだからというより、2003年の発売当時から、見た目がいいゲームではありませんでした。 |
Space Empires
Starfuryを作ったのは、Malfador Machinationsというアメリカの小さな会社です。代表のAaron Hall氏が10年以上に渡ってほとんど一人で作り続けているSpace Empiresシリーズで有名です。
Starfuryは、そのSpace Empiresシリーズのスピンオフです。スペース4X(宇宙版Civのようなもの)だった本家とは大きく異なり、宇宙船一隻で銀河を旅するRPGとなっています。共通しているのは、背景設定や登場するエイリアン種族、兵器の名前ぐらい。遊ぶのに本家シリーズの知識はまったく必要ありません。
ターン制の戦闘が売りだったSpace Empiresシリーズは、5作目でとうとう3Dの宇宙とリアルタイム戦闘を実装しました。その開発段階の試行錯誤の中で生まれたのが、Starfuryだそうです。Starfuryの戦闘エンジンや設計画面は、その後発売された本家5に受け継がれています。本家を3D化するにあたっての、習作という意味合いもあったのかもしれません。
それで、これがStarpoint Geminiとよく似ているんです。かなり参考にした部分があるんじゃないかと、勝手に思っています。
基本的なこと
シングルプレイヤー専用で、操作はStarpoint Geminiとほぼ同じ。マウスで艦の向きを変え、速度スライダーをクリックして加減速。宇宙は完全2Dなので、立体的機動はできません。
ストーリーは一応あるものの、基本的には好きなことをして稼げというタイプのゲームです。たくさんの星系を自由に移動しながら、各地のステーションでサイドミッション(ランダム生成)を受けたり、交易したりで経験値と金を貯めていきます。金がたまったら、パーツを買って自艦を改造したり、より強力な船に乗 り換えたり。
メインストーリーは、3つのキャンペーンにまたがる数十個のミッションで構成されています。私の場合全キャンペーンクリアまでに40時間以上もかかりました。艦改造で悩んでいた時間も相当あると思いますが。
ひたすら戦闘
正直言ってこのゲーム、RPGとしてはまったく見るところがないと思います。ストーリーは単なる状況説明ですし、ミッションの内容も単純作業が続きます。たくさん星系があっても中身はほとんど同じですから、フィールド(宇宙)を探索する楽しみもありません。平和的に交易で稼ごうとしても、利益はスズメの涙です。ということで、ひたすら戦闘します。移動中もひっきりなしに敵が襲ってきますから、幸い相手には困りません。
戦闘システムは、やはりStarpoint Geminiと似ています。前後左右4方向に分かれたシールドと、各砲塔の射界を考慮に入れながら、一斉射撃を繰り返して敵艦を沈めます。違いは、 Starpoint GeminiにあったPerkやマニューバー(スキル)がないこと、シールドの回復が速いこと、それとシールド貫通後のダメージの適用が細かくなっていること、ぐらいでしょうか。Starfuryではシールドが破られると、次に装甲板がダメージを吸収、それも破られると、細かなパーツが一個一個ダメージを受け、性能が落ち、しまいには壊れていきます。あとは、アステロイドを盾にできたり、体当たりが戦術として有効なのも、Starfuryの良い所かもしれません。
AIは、それなりに戦闘をこなしてくれます。機雷を撒いたり、ダメージを受けた面をこちらに向けないようにしたり、左右に蛇行して砲撃をかわしたり。でも状況に合わせた行動という意味では貧弱で、瀕死でも絶対に逃げようとしません。敵勢力所属であれば、貨物船ですら無条件で戦闘を挑んでくるのはちょっとど うかなと。
改造しては出撃し
Space Empiresシリーズは、自分で船を細かく設計できるのが大きな売りのひとつでした。Starfuryではその設計モードがさらに細かくなっています。ここはStarpoint Geminiより数段優れていると思います。
例えば、エンジンスロットにはどのエンジンを積むかだけではなく、どのタイプ・等級のエンジンを、いくつ、船体のどこに積むかまでカスタマイズできます。 重要なパーツを置いた場所によって、被弾時の生存能力が変わってきます。パーツの選択肢もきわめて豊富です。シールドを無視するビームや、クルーだけを殺す生物兵器など変わったものもありました。制約のなかでいかに最強の艦を作るか、ちょっといじっては戦闘し、その結果を元にまたちょっといじり……と悩みがいのあるシステムだと思います。
ただ、パーツごとの性能バランスはあまり取れていなかったです。中盤以降は、敵が落とす一部の兵器が異常に強力な反面、存在価値がほとんどないものも出てきます。特に戦闘機の弱さが目立ち、空母を買っても本来の目的で使うことができませんでした。また、船を一隻しか所有できない、複数の設計を保存できない点も不満に感じました。Starpoint Geminiもそうですが、あちらよりも一隻のカスタマイズにかける時間がはるかに長いので。
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スペース、重量、エネルギーの制約を受けながらも、好きなものを、好きな場所に、好きなだけ配置できる設計モード。 |
未完成……
完成度が高いとはお世辞にも言えないゲームだと思います。発売当時、Space Empiresシリーズのファンにすらあまり好意的に受け止められていなかったような記憶があります。宇宙がからっぽで、戦闘と改造以外に楽しめるところはほとんど見当たりません。その戦闘も同じことの繰り返し、操作やインターフェース、カメラ周りでも不親切な部分が目立ちます。「MODを作りやすくしたから、あとはMODでなんとかしてくれ」と、未完成のまま発売されたようでもあります。
と悪口ばかり並べましたが、じゃあ嫌いかというと、わりと好きです。少なくともプレイ当時はそう思いました。もう飽きた、またこれか、と思いながらもプレイを止められず、クリアまで行ってしまいました。戦艦RPGとしては、精神的な続編(だと私が勝手に思っている)Starpoint Geminiの方がおすすめです。あれだけじゃ物足りない、もう一本同じようなゲームが遊びたいという方がもしおられれば……今ならダウンロード販売で激安で買えます(年末セールでは確か$4前後だったはず)。
リンク
Shrapnel Games Starfuryフォーラム
Spaceempires.net Space Empiresシリーズの総合ファンサイト。Starfuryコーナーも。
Captain Kwok's Space Empires Depot 同じくシリーズファンサイト。StarfuryのMODが落とせます。
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