SPAZ Beta版 宇宙海賊RPG
Impulseが、妙なゲームの予約を受け付けていました。Space Pirates and Zombies(SPAZ)。宇宙海賊とゾンビ。さすがにこんな安易なタイトルで面白いはずがないだろうと、それでもGratuitous Space Battles風のスクリーンショットが引っかかって一応デモを試しました。そうしたらびっくり。ランダム生成宇宙でのRPG+シューティング+ストラテジーという素晴らしいコンセプト。しかも、いつ出来上がるともしれない蜃気楼のようなゲームの話ではなく、すでに一通り完成してプレイできます。憑かれたように購入。最近はFrozen Synapseとこれを遊んでいます。
SPAZは、「PCゲーム黄金時代のコンセプトを最新のグラフィックスで蘇らせたい」というMinMax Gamesの最初の作品となります。Frozen Synapseと同じくTorqueエンジンを使用。2人のチームで21ヶ月間かけてここまでもってきたと、起動画面より。
Impulseで予約すると、予定$20の25%オフ、$15で予約購入できます(他のダウンロード販売サイトでも取り扱い予定)。購入者はBeta版を先行体験できます。いきなり金を払うのはちょっと、という方には、Betaの最初だけを切り出したデモもリリースされています。
こういう系統の2D宇宙放浪ゲームはなぜだか好きです。Xシリーズのような立派な3D大作がある今、どうして2Dに惹かれるか、自分でも理由はよくわかりません。狭い範囲しか見えないことで想像力を刺激され、ゲーム宇宙が実際以上に広く感じるとか、常に周囲を見渡せて安心感があるとか? 大航海時代が好きだったから? 説得力がありませんが、とにかく小さな自機がスラスターを吹かしているのを眺めると、そのチマチマした感じだけで嬉しくなってしまいます。
Beta版を遊び始めて1週間近くになりますけれど、まだ序盤、クリアまでに20~30時間は軽くかかりそうです。いやもっとでしょうか。操作は簡単ですが、結構ハードなゲームで、行ける星系は200個もあります(デフォルト設定)。時折セーブロード時にクラッシュしたり、ミッションバリエーションなどに物足りなさはありますが、少なくともゲーム概要で挙げられた要素はしっかり出来上がっています。公式フォーラムの書き込みによれば、ちゃんとストーリーを最後までプレイできるとのことです。
SPAZには交易の要素はありません。それとRPGとは言っても主人公には顏も名前も台詞もありません。以下に類似作と比べた特長を。
戦闘が楽しい: いろいろと凝っています。船の動きには慣性があり、武器やシールドリチャージはエネルギーを使い、装甲は前後左右の4面にわかれ、クルー人数によって修理速度が決まります。被弾した船からは細かな破片が飛び散って、最期は気持ちよく爆発、巻き込まれた船もダメージを受けます。なんとキャノン系の武器は命中角度によって跳弾したりも。
仲間がいる: SPAZでのプレイヤーは孤独な宇宙商人や傭兵ではなく、巨大母船で宇宙をさまよう海賊の一員です。艦載艇グループ(最大5隻?)のリーダーとしてどれか一隻を直接操作、残りは簡単なコマンドの組み合わせで指揮します。
ちょっとだけストラテジー: 大半は母船から遠く離れての活動になりますが、その際も母船はワープビーコンを通して損傷艦を修理したり、増援を送ってきたりとプレイヤーをサポートしてくれます。このビーコンを守りつつ、資金と人員が底をつく前に敵を一掃しなければなりません。ユニットを生産しながら、生産拠点を守りながらの戦いということで、少しだけストラテジーゲーム的な感覚もあります。少し。
設計と多様な装備: 指揮下の船はすべて自由にカスタマイズ可能。選べるのは、艦型(小型戦闘艇~大型戦艦)、武装(ビーム、キャノン、ミサイルからクロークや機雷、ドローン兵器まで)、装甲、エンジン、リアクター、シールド。設計にあたっては、破壊時のコストやグループ内での役割分担も考える必要があります。
敵を倒して成長: 敵を沈めるとさまざまなものを放出します。Rez(=金)、Data(=経験値)、Goon(=人)、それと設計図。これらを拾い集めて新装備をアンロックし、レベルを上げ、リサーチを進めていきます。こういうところははっきりとRPG的です。ですが金には持てる上限があり、延々金を稼げば増援を無限に送れる、とはなりません。
リサーチ: RPGのスキルのようなものです。装備と同じ15のカテゴリーにわかれ、それぞれさらに10段階程度あって、研究を進めると対応する装備が強化されていきます。
星図を広げていく: 星系同士をつなぐワープゲートはすべてUTA、かつての恒星間航行監視軍の成れの果てによってロックされています。これを戦闘あるいは賄賂によって突破しながら、巨大な銀河のなかで行ける範囲、既知の範囲を広げていくのが目的のひとつです。
ファクション同士の抗争: UTAがいるところにはその天敵、Civilianが存在します。どちらが優勢か、またプレイヤーに対する好感度は行く先々で違います。やけにUTAが好意的な星系もあれば、UTAとCivilianの双方に敵扱いされる星系もあります。各勢力のステーションには新装備の設計図がありますが、気に入らない相手とは取引してくれません。サイドミッションをこなして媚びを売るか、それとも海賊らしく力で奪い取るかは自由。
ゾンビ: 第3勢力として、途中からゾンビが登場します。宇宙空間で腐った男がうめいているわけではなくて、船を内部から侵食してくるバイオモンスター的なものでしょうかこれは。背景はまだはっきりわかりませんが、人間勢力とは異なる対処を求められます。
人は財産: 海賊にとっては文字通り。沈みゆく船が射出する救命ポッドは、演出ではなく回収できます。中身が恭順の意を示せばそのまま艦のクルーに、抵抗したらエアロックから放出。余剰人員はGoonとしてプールされ、新造艦のクルーやUTAへの賄賂に使ったり、ステーションで経験値に替えたりします。通貨扱いです。
ストーリー: 簡単ながらストーリーもあります。宇宙のあちこちにストーリーミッション(非常に難しい)がばらまかれているので、それを自分のペースで進めていきます。
ランダムに形作られる宇宙: ゲームをスタートするたび、宇宙は星系の中身も含めてランダム生成されます。星系の数が難易度設定の代わりになっています(少なくするほど難しい)。Researchで得られるボーナスにもランダム性があります。最終的にトータルで得られるボーナスは一定でも、各研究レベルでは毎ゲームバラつきがあり、わざと成長ペースに波が出るようになっているようです。
砲弾を避けながらビームを浴びせるのが楽しいだけでなく、指揮や生産がある程度の複雑さを与えており、成長とアンロックの快楽も加わります。ノンリニア、アクションしかもマップがランダム生成となると難易度調整が難しいと思うのですが、銀河のあちこちに難所があって、簡単そうな星系を選んで進んでもなおギリギリ感が途切れません。思わず設計図探しと経験値稼ぎに熱が入ります。わかりやすい操作・インターフェースも魅力だと思います。
難点と感じるのは単調さ。多少ふざけた感じのストーリーにはあまり引き込まれることもなく、どこの星系でもやることは似たような繰り返しです。序盤の今は初めて見る装備・船が多いため、新鮮さが勝っていますが、同時に自分の中ですでに飽きている部分もありまして。特に残念なのが星系ごとの独自性のなさ、ミッションの乏しいバリエーション。この先の宇宙に何があるんだろうという探索の喜びが欲しいです。おそらくそんなことは作者の方もわかっているから、こんなに出来上がっているのにまだBeta版という扱いなんでしょう。まだまだ内容を充実させていく計画だそうで、進化に期待したいです。
無尽蔵の富が眠るという銀河のコアを目指して、海賊母艦Clockworksの長く迷惑な旅が始まる。道すがら軍と市民の喧嘩に首をつっこむ。アステロイドを採掘する。ゾンビを倒す。人を拾って売る。 操作はキーボードで前後進+平行移動、マウスで旋回+照準。 変なのはタイトルだけです。 |
SPAZは、「PCゲーム黄金時代のコンセプトを最新のグラフィックスで蘇らせたい」というMinMax Gamesの最初の作品となります。Frozen Synapseと同じくTorqueエンジンを使用。2人のチームで21ヶ月間かけてここまでもってきたと、起動画面より。
Impulseで予約すると、予定$20の25%オフ、$15で予約購入できます(他のダウンロード販売サイトでも取り扱い予定)。購入者はBeta版を先行体験できます。いきなり金を払うのはちょっと、という方には、Betaの最初だけを切り出したデモもリリースされています。
こういう系統の2D宇宙放浪ゲームはなぜだか好きです。Xシリーズのような立派な3D大作がある今、どうして2Dに惹かれるか、自分でも理由はよくわかりません。狭い範囲しか見えないことで想像力を刺激され、ゲーム宇宙が実際以上に広く感じるとか、常に周囲を見渡せて安心感があるとか? 大航海時代が好きだったから? 説得力がありませんが、とにかく小さな自機がスラスターを吹かしているのを眺めると、そのチマチマした感じだけで嬉しくなってしまいます。
Beta版を遊び始めて1週間近くになりますけれど、まだ序盤、クリアまでに20~30時間は軽くかかりそうです。いやもっとでしょうか。操作は簡単ですが、結構ハードなゲームで、行ける星系は200個もあります(デフォルト設定)。時折セーブロード時にクラッシュしたり、ミッションバリエーションなどに物足りなさはありますが、少なくともゲーム概要で挙げられた要素はしっかり出来上がっています。公式フォーラムの書き込みによれば、ちゃんとストーリーを最後までプレイできるとのことです。

SPAZには交易の要素はありません。それとRPGとは言っても主人公には顏も名前も台詞もありません。以下に類似作と比べた特長を。
戦闘が楽しい: いろいろと凝っています。船の動きには慣性があり、武器やシールドリチャージはエネルギーを使い、装甲は前後左右の4面にわかれ、クルー人数によって修理速度が決まります。被弾した船からは細かな破片が飛び散って、最期は気持ちよく爆発、巻き込まれた船もダメージを受けます。なんとキャノン系の武器は命中角度によって跳弾したりも。
仲間がいる: SPAZでのプレイヤーは孤独な宇宙商人や傭兵ではなく、巨大母船で宇宙をさまよう海賊の一員です。艦載艇グループ(最大5隻?)のリーダーとしてどれか一隻を直接操作、残りは簡単なコマンドの組み合わせで指揮します。
ちょっとだけストラテジー: 大半は母船から遠く離れての活動になりますが、その際も母船はワープビーコンを通して損傷艦を修理したり、増援を送ってきたりとプレイヤーをサポートしてくれます。このビーコンを守りつつ、資金と人員が底をつく前に敵を一掃しなければなりません。ユニットを生産しながら、生産拠点を守りながらの戦いということで、少しだけストラテジーゲーム的な感覚もあります。少し。
設計と多様な装備: 指揮下の船はすべて自由にカスタマイズ可能。選べるのは、艦型(小型戦闘艇~大型戦艦)、武装(ビーム、キャノン、ミサイルからクロークや機雷、ドローン兵器まで)、装甲、エンジン、リアクター、シールド。設計にあたっては、破壊時のコストやグループ内での役割分担も考える必要があります。
敵を倒して成長: 敵を沈めるとさまざまなものを放出します。Rez(=金)、Data(=経験値)、Goon(=人)、それと設計図。これらを拾い集めて新装備をアンロックし、レベルを上げ、リサーチを進めていきます。こういうところははっきりとRPG的です。ですが金には持てる上限があり、延々金を稼げば増援を無限に送れる、とはなりません。
リサーチ: RPGのスキルのようなものです。装備と同じ15のカテゴリーにわかれ、それぞれさらに10段階程度あって、研究を進めると対応する装備が強化されていきます。

星図を広げていく: 星系同士をつなぐワープゲートはすべてUTA、かつての恒星間航行監視軍の成れの果てによってロックされています。これを戦闘あるいは賄賂によって突破しながら、巨大な銀河のなかで行ける範囲、既知の範囲を広げていくのが目的のひとつです。
ファクション同士の抗争: UTAがいるところにはその天敵、Civilianが存在します。どちらが優勢か、またプレイヤーに対する好感度は行く先々で違います。やけにUTAが好意的な星系もあれば、UTAとCivilianの双方に敵扱いされる星系もあります。各勢力のステーションには新装備の設計図がありますが、気に入らない相手とは取引してくれません。サイドミッションをこなして媚びを売るか、それとも海賊らしく力で奪い取るかは自由。
ゾンビ: 第3勢力として、途中からゾンビが登場します。宇宙空間で腐った男がうめいているわけではなくて、船を内部から侵食してくるバイオモンスター的なものでしょうかこれは。背景はまだはっきりわかりませんが、人間勢力とは異なる対処を求められます。
人は財産: 海賊にとっては文字通り。沈みゆく船が射出する救命ポッドは、演出ではなく回収できます。中身が恭順の意を示せばそのまま艦のクルーに、抵抗したらエアロックから放出。余剰人員はGoonとしてプールされ、新造艦のクルーやUTAへの賄賂に使ったり、ステーションで経験値に替えたりします。通貨扱いです。

ストーリー: 簡単ながらストーリーもあります。宇宙のあちこちにストーリーミッション(非常に難しい)がばらまかれているので、それを自分のペースで進めていきます。
ランダムに形作られる宇宙: ゲームをスタートするたび、宇宙は星系の中身も含めてランダム生成されます。星系の数が難易度設定の代わりになっています(少なくするほど難しい)。Researchで得られるボーナスにもランダム性があります。最終的にトータルで得られるボーナスは一定でも、各研究レベルでは毎ゲームバラつきがあり、わざと成長ペースに波が出るようになっているようです。
砲弾を避けながらビームを浴びせるのが楽しいだけでなく、指揮や生産がある程度の複雑さを与えており、成長とアンロックの快楽も加わります。ノンリニア、アクションしかもマップがランダム生成となると難易度調整が難しいと思うのですが、銀河のあちこちに難所があって、簡単そうな星系を選んで進んでもなおギリギリ感が途切れません。思わず設計図探しと経験値稼ぎに熱が入ります。わかりやすい操作・インターフェースも魅力だと思います。
難点と感じるのは単調さ。多少ふざけた感じのストーリーにはあまり引き込まれることもなく、どこの星系でもやることは似たような繰り返しです。序盤の今は初めて見る装備・船が多いため、新鮮さが勝っていますが、同時に自分の中ですでに飽きている部分もありまして。特に残念なのが星系ごとの独自性のなさ、ミッションの乏しいバリエーション。この先の宇宙に何があるんだろうという探索の喜びが欲しいです。おそらくそんなことは作者の方もわかっているから、こんなに出来上がっているのにまだBeta版という扱いなんでしょう。まだまだ内容を充実させていく計画だそうで、進化に期待したいです。
- 関連する記事:
-
- Desktop Dungeons デモ、E3期間中だけ公開
- 1ヵ月と少し後