Dungeons of Dredmor の感想
07/21追記: 時間経過で食料が劣化するなんて仕様はなかったようです。itemDB.xmlにもそういうパラメータはありませんでした。チーズや生肉がインベントリーのなかでAged~に変わったのを見たような気がしたんですが、劣化状態のものを別に拾って、元のは食べてしまったのを忘れただけなんでしょう。また、ここに書いた不満点のうち、キーボードでの攻撃については、昨日のパッチで可能になりました。

Dungeons of Dredmor、しばらく遊びました。文字だけのローグライクRPGと比較すれば、操作以外でもいろいろと簡略化されています。キャラ作成やレベルアップ時にできるのはスキルを選ぶことだけ。「鑑定」や「探索」も不要です。飢えのプレッシャー、ランプに油を注ぎ足す、物を持ちすぎて溺れる、ドアにくさびを打ち込んで立て篭もる。そういうリアリズムは、このふざけたダンジョンにはありません。「死んで覚えろ」と言わんばかりの仕掛けも最小限。数々の風変わりなスキルやアイテムを入手して、風変わりな敵にぶつけまくることに没頭できます。敵を罠に誘い込むのも楽しいですし、普通に殴っているだけだって、クリティカルやノックバック、カウンター攻撃が連発して爽快です。詰まったら前の階に好きなだけ戻ることもできます。
それでもやはりローグライクを名乗るだけはあり、雑なプレイだとすぐ命を落とします。雑でなくても、不運の連続や予想外の強敵によって、やっぱり死にます。昨夜は10回目のトライがまた失敗に終わりました(難易度中、クラッシュで消滅した眉毛を数えればもっと多いです)。ダンジョン各階の中身は、毎ゲームある程度共通しているのですが、有効な戦法は選んだスキルでガラリと変わってきます。特殊攻撃持ちの敵がひしめく深層階で生き延びるために、まずは34のスキルカテゴリーから自分なりのビルドを見つけ(スキルの数は100を超える)、さらに装備ボーナスをうまく使って24の能力値と16の耐性を高めていく必要があります。暴れる楽しさ、適度な複雑さ、死ねない緊張感がちょうどよく同居していると思いました。
ユーモアに関しては、やけにチーズの種類があったり、ルーテフィスク(ノルウェーの奇怪な魚料理)の神だとか明白なものと、説明文の妙で笑わせようとするものが半々ぐらい。私には「面白そうなことが書いてある」程度しかわからないジョークも多くて悔しいです(日本語化を進めている方々がおられます)。でもわからないなりに、居心地の悪さは感じません。グラフィックスに関するすべてのとまどいは、髭ゴーレム (mustache golem)が現れた瞬間に消えました。彼を見ていると、欧米のゲームを遊んでいて感じたことのない不可解な感情が沸いてきます。このゲームをプレイしなくなっても、眉毛と髭ゴーレムのことは忘れないでしょう。
とても楽しんでいますが、不満もあります。マニュアルがない。
リリース時には、クラッシュの頻発という大問題がありました。これは2度のパッチで大きく改善されたんですが、依然バグ、インターフェースの問題は多いです。例えばスタックしたアイテムの分割に、とても奇妙な手段を取る必要があります(クラフトツールの素材スロットを使う)。バランスを崩壊させる裏技的なテクニックもいろいろ報告されています。開発チームによれば、まず根幹をしっかり安定させたうえで、MODのサポート、スキルのバグ修正、バランス調整と内容充実を図っていくつもりだそうです。まもなくリリース予定のパッチ第3弾の変更点には、クラッシュ対策の自動セーブ、キー変更、アイテム操作の改善、AIがスペル使用に超消極的だったバグの修正、Steam実績の大量追加などが並んでいます。
公式ブログによると、売り上げは「数値は出せないが、きわめて喜ばしい」レベルとのこと。一時はSteamの「売り上げ上位」リストのトップにありました。$4.99というインディーズRPGとして常識外れの安さでも、7人チームで満足のいく利益が出るほどに、数売れているようです(Inariaは同じく$4.99でしたが、作者自身が失敗を認めておられました)。考えてみれば、「ローグライクは面白そうだけど、見た目が地味だし陰気だし鬼だし複雑すぎる」という声に応えるもの、不思議のダンジョンシリーズに相当するものが、これまで英語の市販PCRPGにはなかったと思います。Diabloが開いた道の方にみんな行ってしまったので。Dungeons of Dredmorは、その隙間にうまいことはまったのかもしれません。それとSteamがインディーズゲームを売る力ってすごいなと、あらためて。
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